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金木犀二十四区

金木犀二十四区

金木犀二十四区金木犀二十四区
(2012/09/01)
三木 笙子

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<STORY>
金木犀をご神木とする神社を有するその町は都心にあって、どこか時が止まったかのような懐かしい古い町並を残す不思議な場所だった。そこで和花屋を祖母と営む秋は、落ちた隕石を調査する山伏の岳史に出会う。
隕石の正体は「天狗」であり、天狗は落ちた場所を己が住む山に変えるという「森林化」を引き起こすという。
半信半疑だった秋だが、実際にその森林化が現れて静かな町はにわかに騒がしくなってしまった。
そして、秋もまたその騒動に巻き込まれていくのだった。


<感想> ネタバレあり
私、この作家さん好きかもしれない…というか、好きですね(笑)
以前、このブログでも紹介したシリーズ物とは違いますが、作風が独特なんですね。そこが好き。

世界観は日本のようで、想像上の町です。
かつて東都と呼ばれていたけれど、革命が起こり、その後二十三区に分けられた首都。
「花の都」と呼ばれていた頃の名残で、ただ一区、二区と呼ぶのは味気ない。そこで「朝顔三区」とか「桜十三区」と花の名を付けて呼ぶようになったと。
そして正式ではないけれど、誰もが「金木犀二十四区」と呼ぶ町が舞台になります。

主人公は、その「金木犀二十四区」で和の花を専門で取り扱う花屋を営む青年・秋(あき)です。
町の人から「靡(なびき)」と呼ばれるほど、花の取り扱いがうまいというか…不思議な力を持っています。本人は認めてないですけどね(苦笑)
他にも「緑の手」とか呼ばれる、植物の生育などに影響がある不思議な力なんですが…これが、後々彼が巻き込まれる原因となるんですけど。

山伏の岳史(たけし)が町に落ちたとされる隕石を探しに来たのが全ての始まり。

予備知識なしで読み始めたので、これが一体どんな物語なのか全く見当もつきませんでした(笑)
冒頭で「首飾りが盗まれる」という事件が起きて、それを秋が見つけ出したために推理モノなのかな~と思ったほどでした。同じ作者のシリーズ物がそうだったので尚更。
ところが、岳史の話によると隕石は「天狗」であり、それが引き起こす「森林化」を防ぐという流れになってきたから「あれ?」と(苦笑)
しかも、本当に家の中が草木が突然成長して占領されるという事象が起きるから驚きです。これは「ファンタジー」か!と思い直したところで…ひっくり返る(笑)

そして、やっぱり違うのか~?と思ったら、またひっくり返る!!!

さらにさらに読み進めていくと、またもやひっくり返る!!!!

いい意味でドキドキしました(笑)

以前、ここでも紹介したファンタジーがラストで推理モノを披露した時に、ウルトラC級を目指して着地に失敗した感があったのですが、こちらはきちんと着地しましたね(苦笑)
個人的に奇妙な共通点を感じたのは、エピローグですかね…どちらも最後で「ああ、そうなのか」と読者だけに納得できるシーンがあるところでしょうか。
前者は納得というか、そこで大オチをつけたんですけどね(苦笑)

こちらの作品のエピローグは不思議な余韻になりました。
まぁ、あくまで個人的な感想なので、納得いかない人もいるかもしれませんね。とにかく一転二転三転しましたから。

さて、ここからネタバレありますのでご了承ください。


















中盤で起きた「森林化」が実は人為的なもので、思いっきり「地上げ」によるものだと分かった時は本気で推理モノだと信じました(笑)
ところが、その地上げを企んだ人が岳史と同じ「山伏」で、何と本気で天狗を狙っていたというから驚きました。
そして、その天狗というのが「森林化=植物を異常活性化させる能力を持つもの」すなわち「靡」であり、ここでに焦点がくるわけですよ。

そうくる?そうくるの?!

秋の出生の不確かさが明るみになるにつれ、ドキドキしましたね。
岳史が天狗を恐れており、山伏は天狗を「退治」しなければいけないという使命があって…どう決着をつけるんだ?と思った時は、もう完全に騙されてましたね(笑)

いろいろ引っ張って、秋の出生の秘密が分かった時は「ああ、そうだよね!そうだよね!普通に考えれば天狗は架空の生き物だよね!」と自分に言い聞かせてしまった(苦笑)

だがしかし!!

ほんわかムードのラストでほんの少しだけ、それに対しての意趣返しが仕組まれていたのが良かったです。あくまでもほんの少し…この加減が大事かもしれません。
リアルとファンタジーの境を行ったり来たりで振り回されまくった読者としては、最後の最後で落ち着きたいですからね(笑)

人物描写が非常にうまいので、嫌な人がとことん嫌な人なんですが、秋を狙った山伏社長さんの動機がちょっと切なかったな。
全く同情の余地なしだったのが、岳史の母親でした…「何でも自分の希望通りに物事がなっていたため、自分の希望に沿わない子供(岳史)が気に入らない」って…。
名家の一人娘でかなり努力をして、周囲の期待通りになったと言ったけれど、二人目は女の子が欲しいと思ってたのに男だったのが最初の躓きって(汗)
一人目が自分の思い通りに育ったのに、岳史が思い通りにならないから嫌って…。
ちなみに大人になるまで「気の合わない人間」とは会ったことがないそうな…その理由は、周囲がそれとなくそういった人間が近づかないようにしていた。つまりは「お手伝いさんはこまめに交代。気の合わない親戚は出入り禁止。学校では年度の途中でもクラス替えをさせていた」…これ最悪じゃん。

それでも彼女には理想の家族像・母親像があって「子供を愛せない」なんてとんでもない話で。でも岳史のせいでその理想から離れていくので、どんどん精神的に追い詰められていく。
そこで家族が弾き出した答え。

岳史を外に追いやればいい。

さらにあり得ないのが、それを父親が岳史に「お前の代わりはいるけど、お母さんの代わりはいないから」と伝えたという信じられないこと。

ほんのわずかなエピソードだけど、ものすごい重さを感じましたね。
この後に秋の出生の話になっていくので…これもまた自分勝手な母親なんですよ~~。
うん、だからこそ山伏社長の言葉が生きてくるんですけど…この二人の母親はきつかったわーー!!
ネチネチと書いてないのに、しっかりとその人柄というか…分かるんですよ。
秋や岳史など、自分よりも他人を優先する人たちや金木犀二十四区の持つ温かさの対比なんでしょうね。

勧善懲悪とか、ありきたりなハッピーエンド物ではないですね。
純粋に面白いと思った作品でしたので、おススメします。


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こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

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