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川に死体のある風景

川に死体のある風景

川に死体のある風景 (創元クライム・クラブ)川に死体のある風景 (創元クライム・クラブ)
(2006/05/27)
綾辻 行人、有栖川 有栖 他

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美しい川面に浮かぶ死体、そこから生まれる謎。
歌野晶午、綾辻行人、有栖川有栖など、六名の本格作家が、川を舞台に競作したミステリアンソロジー。

<収録作品>
歌野晶午「玉川上死」
黒田研二「水底の連鎖」
大倉崇裕「捜索者」
佳多山大地「この世でいちばん珍しい水死人」
綾辻行人「悪霊憑き」
有栖川有栖「桜川のオフィーリア」

<感想>
アンソロジーは大好きです。
理由としては、一冊で多くの作家の作品が読めることと、当然ながら短編なので読みやすいからです。
また「テーマ」をどのように解釈して、どのように表現するかそれぞれの作家の個性が非常に出る形式でもあるからです。このブログにも紹介していますが「異形コレクション」というホラーアンソロジーもこれが理由ではまりました(苦笑)

今回のテーマはタイトル通りに「川と死体」。
お約束として必ず冒頭に「川と死体」を出すというのがあったようです。期待通りにどの作品も見事にそれぞれの川、それぞれの死体を出してくれました。
ミステリではありますが、決まりごとはそれだけですので、「川と死体」をその後どのように料理するかは作家次第。
実に面白い内容が揃いました。

歌野晶午「玉川上死」
ゆらゆらと川を流れる死体がひとつ……ところがその死体を引き上げようと追いかけてきた警官が「ちょっと待て~!」と叫ぶと、「僕のことですか?」とその「死体」がひょっこり顔を上げた!
死体の振りをして最終地点まで流れることが出来るかというバカみたいな賭け事をしていた高校生たち。
ところが、それを中継しているはずのふたりが何者かに殺されていたことが判明した。

短編ながらなかなかどんでん返しが効いた作品でした。
高校生の「今しか見ない、自分の楽しみを優先する、子供扱いは嫌うけれど、子供であることを最大限に利用するずる賢さ」がさく裂します(苦笑)
軽快な文章なのですが後味は悪い方ですね。

黒田研二「水底の連鎖」
川に軽トラが転落したと通報を受けて捜索したところ、同じ場所からいろいろなゴミに交じって何と2台の車が発見された。そしてその車にはそれぞれ遺体が。
調べたところ、死後1か月ほどの女性は心臓麻痺、死後2週間ほどの男性は胸部圧迫による事故死、そして軽トラの運転手は逃げ遅れて窒息死……見通しの良い川沿いの道で一体何が起きたのか?

同じ場所で3件もの死亡事故。いかに事故の多い場所とはいえ、揃いも揃って同じ場所に車が突っ込むなんてあり得ない。
そのあり得ない事故の裏側に隠されている謎を解く作品です。
「あーなるほどね」と思いますが、真相は証拠があるわけではないので「謎解き」で終わります。

大倉崇裕「捜索者」
山間を流れる沢に赤いジャケットが。
山小屋で待機しているはずの彼がなぜ外に出て、そして沢に転落したのだろうか…?
遭難者を捜索するための山岳救助隊とそれに協力する民間人の登山者たちの前で起きた過去の事故。しかし、再び同じ山で起きた事故が燻っていた疑惑を呼び覚ます。

「沢」は「川」ですよね?作者はまず確認したそうです(笑)
まぁ、解釈の違いですよね……でも、作品を読み終えると「川に死体のある風景」ではなく「山に死体のある風景」の方がしっくりきます。作者もそう認めてました(笑)
内容としてはまずまずのショートミステリトリックで面白かったですよ。でも、山…ですね。山が舞台です(苦笑)

佳多山大地「この世でいちばん珍しい死体」
舞台は南米コロンビア。そこを流れる川から体中、自動小銃で撃ち抜かれた「溺死体」が発見された。同日、その近くにある刑務所から「いるはずのない人間」が「脱走しようとして銃殺される」という奇妙な事件が発生する。
果たしてその事件の裏に隠された理由とは?

舞台は南米コロンビアというアンソロジー唯一の海外の川で起きた事件です。まぁ、理由は「治安の悪さ」が「奇妙な事件が起きた背景」のひとつなんですね(苦笑)
事件の詳細を推理するにはちょっと分かりにくいかもしれませんが、私はむしろこの事件に関わった人たちの方が面白いと思いました(←おいおい)

綾辻行人「悪霊憑き」
ひとりの女性が川から水死体となって発見された。彼女は※※※※※※※に憑りつかれて死んだのだ、と思われていたが…。

えーあらすじを読むと「ミステリ?」と思うかもしれませんが、これは綾辻氏の意図したものです。※の表記は実際に作品でも使用されています。
実に単純明快な事件なのですが、それを取り囲む全てが非日常的に仕上がっていて、異色な作品になっています。
笑えるのは「この世に不思議なことなどないんだよ」と日本で一番有名な古本屋の店主…という表現が出てくるところでしょうね。京極堂を知っている人は冒頭からニヤリと笑えます(笑)

有栖川有栖「桜川のオフィーリア」
雪解け水が入り込む川で一人の少女が死んでいるのを発見された。桜の花びらが舞う季節のことである。
彼女は自殺と断定されたが、数年後に彼女の死に顔を撮影した3枚の写真を友人宅で発見した男性が、疑惑を胸に有栖たちの元を訪れた…。

久しぶりに江神部長に出会いしました。有栖川有栖と言えば「火村准教授」の方が有名なんですが、実際はこちら江神部長の方がデビュー作からの探偵なんですよね。
こちらも少女の死の真相というより、写真の謎を解くのが焦点なので「犯人当て」ではなく「謎解き」になります。でも、すっきり纏まっていて切ない話でしたね。


どれもこれも個性が出ていて楽しい作品でした。


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こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

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