スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

烏に単は似合わない

烏に単は似合わない烏に単は似合わない
(2012/06/24)
阿部 智里

商品詳細を見る


<STORY>
八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が!失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙…。后選びの妨害者は誰なのか?そして若宮に選ばれるのは誰なのか?
第19回松本清張賞最年少受賞。


<感想> ネタバレあり
表紙とあらすじから王道のファンタジーが見えるのに、なぜか「松本清張賞受賞」の文字が…。
私の松本清張のイメージからはどう転んでのファンタジーには辿り着かなかったので、本当に驚きました。
この前に紹介した「本にだって雄と雌があります」同様、先入観による作風の勘違いがあってはいけないと心に留めつつ、読んでいったのですが……どこが松本清張になるんだ?とかなり悩みました(苦笑)

四人の姫君の中から妃を選ぶはずの若宮がなかなか登場せず、その間に死人が出る事件が起きて、やっとここらあたりがそうなのかな?と思いました。
そして若宮が登場したあとの怒涛の展開!
衝撃の事実!


騙された!!

声を大にして言いたい。

本っっ当に騙された!!!

ネットで検索して感想などを読みましたが、少しホッとしました。
ああ、私だけじゃなかったんだ…という安堵を感じました(笑)
かなりの酷評もありました。
しかし、私の「騙された」は「松本清張賞に値しない」という意味ではありません。ファンタジーとしてはそこそこ楽しんで読んでいました。
文章の稚拙さは確かに違和感を覚えたところもありましたが、そこまで酷評はできません。私自身、大きなことを言えるほど文章うまくないんで……orz(←自爆)
「騙された」という理由は思い切りネタバレなのでここからはご注意ください。


ここから先はネタバレ!!














一番の疑問は「この作品の主人公は誰?」なのです。
序章の過去の邂逅はどう見ても伏線なのは分かります。
しかし、それに続いて「東家の二の姫(のちに「あせび」)が登場して、本作の核となる若宮の妃候補になるよう父親に頼まれたとき、実は姉である一の姫が本来は行くはずだったのに、病気になってしまってそれが出来なくなってしまい、急きょ二の姫・あせびが行くことになると読者は知らされます。
もし、この後場面転換して他の姫の紹介があれば、平等に見ることが出来るのですが、あせびと一緒に舞台である桜花宮に行くまで他の姫たちには会えません。読者はあせびと一緒に物語を進むのです。
中盤以降になって、やっと他の姫君たちの裏事情を知るのですが、その前までずっとあせび視点。

これではあせびが主人公であると思い込みます。

世間知らずで、どこかふわふわした感じで、他の姫たちに嘲笑されるあせび。若宮の妹姫である藤波に好かれるあせび。
途中、序章の邂逅の相手もあせびと若宮だと分かり、一度だけ通りかかった若君がにっこりと笑いかけるシーンがあり、王族しか纏えない紫衣が眠るあせびに掛けられていたり…王道の恋愛もののパターンがあせびの視点でずっと進みます。


しかし、各家の事情や王族内の権力争い、姫君たちの胸中が明らかになり始めると、一気に物語はミステリ調に変わります。
あせびに協力していた女房が突然、窃盗容疑で捕まり、その後失踪したと思ったら死体で発見された。その後、若宮以外は男子禁制のはずの桜花宮に忍び込んだ男がその場で斬首される。
儀式をすべてすっぽかし、一向に姿を見せない若宮。
南家の一の姫・浜木綿が明かした皇后が絡んだ「若宮廃嫡計画」などの陰謀。

どうやって決着をつけるのかと思いきや、最後の最後で現れた若宮の一刀両断的力技で解決しました……。

ま、いいけどね。
ここはもういいです。

私が「騙された」と言いたいところは、

あせびの腹黒大魔神降臨

ですから。

要は、一番「私は何も知らない、何もできない、ダメな女なの」と全身で訴えていたあせびが一番怖い女だったというオチです。

だからこの作品の主人公が分からなくなってしまったんですよ。
あせび視点でずっと物語を進めておいて、最後の最後で実はこの女が若宮の妻になりたいがために、あれこれやっていたんですよーというはきっついです。
しかも、姉である一の姫は病気ではなく、何者かによって暴行されたのが真実だったという…これ、じつは犯人はあせびに懸想する下男の仕業で、桜花宮に忍び込んで殺されます。
このあせびの本性に感づいた女房が死んだのも結局はあせびが裏で仕組んでいたって…。

一応、フォロー?としてあせび本人は本気で「自分は何もしていません。みんなが私のためを思ってあれこれやってくれて、結果としてこんな悲しいことになってしまいました。本当に悲しいです」と主張します。
これは演技でも、狂気でもなく、本当にあせびが「こういう女」なのです。
直接手を下してはいないんです…だから「怖い女」とこれでもかと真実が明るみに出ます。


しかもトドメが、実はあせびの母親もそうだった…。
これは途中であせびに「母親の二の舞にならぬように」という余計な助言をした人がいまして、あせびが母のことを調べるきっかけになるのですね。
今上(若宮の父で今の王様)の時代、あせびの母親・浮雲もまた妃候補で桜花宮に居たんです。しかも今上は浮雲が一番好きだった…ところが、止せばいいのになぜか他の姫とも情を交わした結果、今の皇后が先に孕んでしまったんですよ。それで浮雲を妃に出来なかったんだよ~というおバカな話です。
それでも懲りずに即位したあと、浮雲を側室として迎えようとしたら…浮雲妊娠発覚!今上の子ではありません。
側室の話はお流れになり、代わりに東家の当主の側室となりました。
そしてあせびを生んだ後、下男に殺されたって…しかもその下男があせびの本当の父親って…さらに、死ぬ前に若宮と藤波の母親を殺した疑いまで…どれだけビッチにすれば気が済むんだ?

この説明は若宮がするんですけどね。
ちなみに余計な助言したのは今上です。

あせびの本性「悪意さえなければ何をしても許されると知っている」を暴いた若宮ですが、最後に出てきて伏線回収して、事件を解決して、四家を抑える宗家として俺はやる!という新たな決意をして、最後の最後にあせびがああなったら、序章のあれは何だったの?という疑問を終章の一言で答えてくれました。

とことん読者を惑わせるため、ただ「あせび」の大どんでん返しをしたいがための若宮としか思えない…orz

作品の設定などは非常に私好みなんですが、そのせっかくの世界観が生かし切れていないというのもあったんですね。
四人の姫が妃の座を巡って争うのならば、もう少し権謀術数的な展開もあっていいと思うのですが、ドロドロした女の戦いなんて嫌い!というなら、何故あのあせびのオチがあるのか。
若宮も終盤になって登場しなければならない理由が、浜木綿が南家から絶縁されるのを待って、無縁の彼女を妻にするためって…。最初から若宮は浜木綿を妻にするのが目的じゃん。

とにかく「あせび視点ですべてを書いておいて、あの『あせび最凶オチ』はないだろう」というのが私にとっては残念な部分でした。
そしておそらく、作者が書きたかったのはその残念な部分だったと思われます(苦笑)

でもそんなあせびも本性を暴かれた後は登場しないんですよ。
ただ若宮に「私を好いてくれてありがとう。でも私はあなたが嫌いだ」と言われてカットアウトです。

代わりに若宮と浜木綿がラブラブでハッピーエンドで締めくくるのですが、あせび以外の姫は中盤以降じゃないと人柄が分かんないし、若宮も終盤だけの登場だけなので、あれでは感情移入できないので、納得がいかないんですね。
読後がどうもすっきりしないのはそのあたりでしょう。

これも友人に読んで貰おうかな~。
彼女には一度マンガですが「これ、私が自信を持って薦める駄作!!」という作品を紹介されたことがあります。俗にいう「逆おススメ本」って奴です(笑)
内容は一切説明せず、ただ「超人気だけど駄作!!」と…読んで私も確かにそう思いました。
すごい人気作品なんですけど、申し訳ないけれど爆笑物の駄作でした。
そんな彼女がこの作品をどう受け取るか…知りたいです(笑)←私もかなりの腹黒ですね。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

この作家も巧みに騙してくれる

「烏に単は似合わない」は本当に騙されましたか!
これはいろんな意味で興味深い・・・。
読んでみたいと思います!

松本清張賞といえば、「芳年冥府彷徨」で受賞した島村匠さん。
結構好きで良く読みました~。
そんな島村さんが最近出した「マドモアゼル」
も、かなり没頭しました。
緻密ですし、島村さんの真摯な仕事ぶりを十二分に感じました。
島村さんの評論をしてるサイト、あまり無いんですが、見つけたので
貼っておきます。
http://www.birthday-energy.co.jp/

「マドモアゼル」に関しては極上の国際サスペンスだそうで。
これからも期待できそうですね!!

コメントありがとうございます!

はい、騙されました(笑)
しかし、その…この「騙された」はミステリにおける意味とはちょっと違うので後味が…(苦笑)
Amazonで本の画像や情報を取得していますが、ついでにレビューがあった場合はチェックしています。やはりこの作品は賛否両論です。
面白い!と絶賛する方から、駄作!と酷評するまで極端です。好き嫌いがはっきりと分かれますね。

個人的にはファンタジーは大好きで、世界観も好みなのですが、ラストの展開が素直に受け入れられなかったですね。松本清張賞ではなく、コバルトノベル大賞やファンタジーノベル大賞なら受け入れられた…のかな?

ご紹介にあった「島村匠」さん。
面白そうですね。ぜひ読んでみようと思います。
また遊びに来てください。

ホッとしました

前半を読んでとても面白そうだと楽しみにしていた作品でしたので、読み終わってあまりのガッカリ感に寝られなくなってしまい…。
つい感想を探してこちらを拝見しました。
私の感じた残念感、もやもや感が素晴らしく整然と形になっていて、ようやく気持ちが落ち着きました(笑)
ずっと主人公(?)視点だけで書いてきて、読者が彼女に対して自然に抱く親しみや思い入れを利用してザックリ裏切って「どんでん返し」と言うのはあまりに卑怯ですよね…。
松本清張賞とか知らずに読んだのでそんなに評価の高い物語と知ってさらにモヤモヤしていましたが、ようやく眠れそうです!
ありがとうございます(^_^;)

コメントありがとうございます。

コメントありがとうございます。
実は私も読後のモヤモヤが凄かったので、自分の感覚が正しい?のか不安になって、他の方の感想を知りたくてネット検索しました(苦笑)←Amazonの商品検索につく感想コメントでしたが、見事に両極端に分かれていましたね。
最近は更新をしていないのですが、映画鑑賞も読書もしているので、そろそろ真面目に更新しようと思います。
実はこの作品の続編が、すでに「4作目」に突入しているのですよ……これには驚きました(苦笑)
2作目はすでに感想をアップしていますが、この作品の裏事情なので、本格的な続きは3作目以降になります。

それなりの心の準備をして読もうと思います(笑)
プロフィール

こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。