スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

死ねばいいのに

死ねばいいのに死ねばいいのに
(2012/09/28)
京極 夏彦

商品詳細を見る


無礼な男が死んだ女のことを私に尋ねる…私は彼女の何を知っているのだろう…。


京極夏彦の小説は京極堂シリーズ以外では異形コレクションに収録されている短編ホラーしか読んだことがありませんでした。
この作品は現代であり、一応分類としてはミステリになるのかな?すごく微妙です。

ひとりの女性が死に、その女性に関わった人たちの元へ「彼女のことを教えて欲しい」とひとりの男が訪ね歩くという話です。
しかし、主人公はこの男とは言い難い。
なぜなら、文章形態が尋ねられる男女それぞれが一人称で語るからです。

死んだ女性の名前は鹿島亜佐美。彼女のことを尋ねる男は渡来健也。
健也は亜佐美とは四回だけ会った男で、恋人でも友人でも家族でもない…「知り合い」「関係者」などという曖昧な存在だった。

しかし彼は、亜佐美の派遣先であった会社のサラリーマン、亜佐美が死んだ部屋の隣に住んでいる女性、恋人(?)だったヤクザ、亜佐美の母親、事件を捜査している刑事と転々としながら亜佐美のことを聞いて回った。


事件の真相を知りたいわけでもない、彼女の生い立ちに興味を覚えているわけでもない。
ただ「あなたが知っているだけでいい、亜佐美のことを教えて欲しい」言う。


健也の目的は最後まで分かりません。
ただ、健也が訪れたことでそれぞれの関係者たちが心の中に仕舞いこんでいた自分の本性が暴かれる結果となってしまうのが何とも。
一人称なので、事細かにその人物がどういった状況に置かれ、外面は取り繕っていても、内面は不平・不満・虚栄や嫉妬なのでドロドロしているのが丸わかり。

タイトルの「死ねばいいのに」という言葉が必ず出てくるのですが、この言葉が実のところ事件の真相を知るキーワードだったりするんですね。
読み終わっても、すっきりとした感じはありません(苦笑)

登場人物たちは非常に自分勝手で、自己愛が強く、責任転嫁ばかりする人たちなのですが、どうにもこうにも自分だって心当たりがある、ある意味「普通」の人なんですね。
彼らの心情は分かるのですが、肝心の亜佐美と健也は一人称で語ることがないので、この二人に関しては読み手が推測するしかできません。
受け取り方はいろいろあるでしょう。

誰もが辛いときは「自分が世界で一番不幸であり、こんな状況になったのは周りのせい」と悲劇の主人公を気取ります。
でも本当に不幸なのでしょうか?
それはただ自分の思い通りにいかない現実に対して不平不満を言っているだけではないでしょうか?


だって、もし本当につらいなら、もし本当にその状況がどうしようもないなら、

死ねばいい

そんな背筋にゾクリとくるような作品でした。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。