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告白

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
(2010/04/08)
湊 かなえ

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「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」

何と言ってもこのセリフからすべてが始まりますね。

ジャンルを「ホラー」にしたのは正直に「怖い」と思ったからです。
作品は「映画化」された時にその存在を知りました。そして内容も「映画のCM」で知り、興味は持っていたのですがまだ見ていません。

図書館に行った時に、ちょうど「返却コーナー」にあったのを見つけて借りてみました。

第一章から第六章まですべて「一人称」で書かれているとは思っていませんでした。これをよく映画化できたな~と本気で思います。
実際に原作を未読で、映画を見た同僚は「分かりにくかった」と言ってました。
原作を知っていれば分かりやすいのかな?

まぁ、映画は見るか迷っていますが、まずはこの作品の感想ですね。


作者、すげぇ!!


いや、マジで(苦笑)
「衝撃的なラスト」って言われても、意外と肩すかしも食らうのがこの煽り文句。
どちらかというと、私は「ラスト」よりも「全部の章」、一人一人の語り手たちの「告白」でひとつの事件の様々な形に衝撃を覚えました。

本当に振り回されました(苦笑)

私は単純なので、信じやすいし、感情移入もしやすいんです。だから、一人称なんて一番振り回される文章形態なんですよ。

文庫版では映画監督のインタビューが掲載されていて、そこで「嘘をついている」という言葉が本当に身に染みました。
三人称であれば、語り手は「作者」なので「嘘」はないです。
しかし、一人称は「作中の登場人物」なので……自分に都合の悪いことは隠したり、誤魔化したり、あるいは自己を良く見せたりするのは当然のこと。
当人は嘘をつくつもりではなかったのかもしれませんが、後に別の人物から語られることで、読み手には「嘘」として認識されることがいくつもありました。

騙されやすいなぁ、私(苦笑)

以下、ネタバレ含みますので注意してください。















冒頭に「怖い」と書きました。
何が怖かったかというと、まず四歳の少女を殺した犯人ふたりが「罪悪感」を全く覚えていなかったことに恐怖を感じました。
母親である教師・森口が警察にもマスコミにももらさずに取った復讐方法で、このふたりに制裁を加えるのは「その他の生徒」であるというのも。
教師だからこそ「子供の残酷性」というものをよく理解しているな~と。

ただ、本当に犯人ふたりは良心の呵責というものを全く感じてなかったのはすごい。
自滅に陥った犯人Bこと下村は、四歳の女の子を殺したことで復讐を受けることになってしまったのは理解しているけれど、子供に対しての申し訳なさはなかったんですよね。
あくまでも、学校でいじめに遭う自分、エイズになって死ぬ自分を想定して苦しんでいただけなのだから。

犯人Aこと渡辺も最初から最後まで後悔したことはなかったし、徹頭徹尾自分中心で終わってました。

このふたりの関する印象をうまくかき回してくれたのが、まず同級生である北原。
彼女の一人称が…渡辺の印象を少し良くしてしまった。これが後でしっかり否定されるのだけど、私は彼女の「嘘」が一番怖いと思った。

「中二病」

この言葉を知ったのはオンラインゲームをやった時でした。
芸人が作った言葉だそうですが、この作品ではこの「中二病」が満載でした(苦笑)

結局、北原も渡辺もこれだったんだなぁ…。

きっと私も中学生の時はこんな感じだったのだろう。だけど、もう大人になってその時のことは忘れてしまいました。
そんなものなんですよね(笑)


最後の「衝撃的なラスト」ですが、あれは本当に森口よくやった、と思いました。
ひとつは「何をどうやっても更生することのない犯人」を最後の最後でちゃんと復讐できましたね…って。
「この方法以外ない」という手段とタイミング。
あくまでも「自分と母親」以外のものを拒絶するというか、無視できる渡辺にとってこれ以上の復讐方法は本当にない。

自分を正当化して、多くの人間を巻き添えにして自殺して、母親に自分の存在を刻み付ける(…確実に昔のことは忘れていただろうな渡辺の母親)ことに失敗しただけでなく、また肝心の母親が先に死んでしまったので、今後もそれが出来ないという現実。
また、自分のしたことを知った母親が自分のことをどう思ったのかを永久に知ることも出来ない…渡辺が欲しがっていることだと知っているから絶対に森口は教えないと思う(苦笑)

さらに言うならば森口自身も本当に自分しか考えてないですしね…渡辺といい勝負じゃないかな。
巻き込まれた生徒たちはいい迷惑だし、最後は何人巻き添え食って死んだかな…。
渡辺は遺書と言う形でそれなりの自分の告白をしたけれど、森口はしてませんからね。
「自分が悲劇の主人公」と渡辺をバカにしていたけれど、ある意味「復讐」は独り善がりの悲劇の主人公がやることなので、その辺はどうだったんだろうか?

救いようのない、解決のないばっさりとした終わり方ではあるけれど、まぁ確実に森口の復讐だけは完遂出来たと思います。

ま、これも騙されているかもしれませんが(笑)

渡辺の母親じゃないですが、森口だって案外この何年か後には再婚して第二の人生を歩んでいたとなってもおかしくない。


全編を通して感じたのは「これが現実なんだよな」と。
要は「激しく良心の呵責に悩む」とか「憎しみを乗り越えて許す」とか「罪を犯した我が子を受け入れる」とか「自分の愛する者を失ったことで初めて自分のしたことを理解する」とかそんなキレイごとはあり得ない…自分を含めて、やっぱり人は夢見ちゃうんだなって、そう思いました。

読後感が悪いけど、読んで良かった。
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こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

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