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金木犀二十四区

金木犀二十四区

金木犀二十四区金木犀二十四区
(2012/09/01)
三木 笙子

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<STORY>
金木犀をご神木とする神社を有するその町は都心にあって、どこか時が止まったかのような懐かしい古い町並を残す不思議な場所だった。そこで和花屋を祖母と営む秋は、落ちた隕石を調査する山伏の岳史に出会う。
隕石の正体は「天狗」であり、天狗は落ちた場所を己が住む山に変えるという「森林化」を引き起こすという。
半信半疑だった秋だが、実際にその森林化が現れて静かな町はにわかに騒がしくなってしまった。
そして、秋もまたその騒動に巻き込まれていくのだった。


<感想> ネタバレあり
私、この作家さん好きかもしれない…というか、好きですね(笑)
以前、このブログでも紹介したシリーズ物とは違いますが、作風が独特なんですね。そこが好き。

世界観は日本のようで、想像上の町です。
かつて東都と呼ばれていたけれど、革命が起こり、その後二十三区に分けられた首都。
「花の都」と呼ばれていた頃の名残で、ただ一区、二区と呼ぶのは味気ない。そこで「朝顔三区」とか「桜十三区」と花の名を付けて呼ぶようになったと。
そして正式ではないけれど、誰もが「金木犀二十四区」と呼ぶ町が舞台になります。

主人公は、その「金木犀二十四区」で和の花を専門で取り扱う花屋を営む青年・秋(あき)です。
町の人から「靡(なびき)」と呼ばれるほど、花の取り扱いがうまいというか…不思議な力を持っています。本人は認めてないですけどね(苦笑)
他にも「緑の手」とか呼ばれる、植物の生育などに影響がある不思議な力なんですが…これが、後々彼が巻き込まれる原因となるんですけど。

山伏の岳史(たけし)が町に落ちたとされる隕石を探しに来たのが全ての始まり。

予備知識なしで読み始めたので、これが一体どんな物語なのか全く見当もつきませんでした(笑)
冒頭で「首飾りが盗まれる」という事件が起きて、それを秋が見つけ出したために推理モノなのかな~と思ったほどでした。同じ作者のシリーズ物がそうだったので尚更。
ところが、岳史の話によると隕石は「天狗」であり、それが引き起こす「森林化」を防ぐという流れになってきたから「あれ?」と(苦笑)
しかも、本当に家の中が草木が突然成長して占領されるという事象が起きるから驚きです。これは「ファンタジー」か!と思い直したところで…ひっくり返る(笑)

そして、やっぱり違うのか~?と思ったら、またひっくり返る!!!

さらにさらに読み進めていくと、またもやひっくり返る!!!!

いい意味でドキドキしました(笑)

以前、ここでも紹介したファンタジーがラストで推理モノを披露した時に、ウルトラC級を目指して着地に失敗した感があったのですが、こちらはきちんと着地しましたね(苦笑)
個人的に奇妙な共通点を感じたのは、エピローグですかね…どちらも最後で「ああ、そうなのか」と読者だけに納得できるシーンがあるところでしょうか。
前者は納得というか、そこで大オチをつけたんですけどね(苦笑)

こちらの作品のエピローグは不思議な余韻になりました。
まぁ、あくまで個人的な感想なので、納得いかない人もいるかもしれませんね。とにかく一転二転三転しましたから。

さて、ここからネタバレありますのでご了承ください。


















中盤で起きた「森林化」が実は人為的なもので、思いっきり「地上げ」によるものだと分かった時は本気で推理モノだと信じました(笑)
ところが、その地上げを企んだ人が岳史と同じ「山伏」で、何と本気で天狗を狙っていたというから驚きました。
そして、その天狗というのが「森林化=植物を異常活性化させる能力を持つもの」すなわち「靡」であり、ここでに焦点がくるわけですよ。

そうくる?そうくるの?!

秋の出生の不確かさが明るみになるにつれ、ドキドキしましたね。
岳史が天狗を恐れており、山伏は天狗を「退治」しなければいけないという使命があって…どう決着をつけるんだ?と思った時は、もう完全に騙されてましたね(笑)

いろいろ引っ張って、秋の出生の秘密が分かった時は「ああ、そうだよね!そうだよね!普通に考えれば天狗は架空の生き物だよね!」と自分に言い聞かせてしまった(苦笑)

だがしかし!!

ほんわかムードのラストでほんの少しだけ、それに対しての意趣返しが仕組まれていたのが良かったです。あくまでもほんの少し…この加減が大事かもしれません。
リアルとファンタジーの境を行ったり来たりで振り回されまくった読者としては、最後の最後で落ち着きたいですからね(笑)

人物描写が非常にうまいので、嫌な人がとことん嫌な人なんですが、秋を狙った山伏社長さんの動機がちょっと切なかったな。
全く同情の余地なしだったのが、岳史の母親でした…「何でも自分の希望通りに物事がなっていたため、自分の希望に沿わない子供(岳史)が気に入らない」って…。
名家の一人娘でかなり努力をして、周囲の期待通りになったと言ったけれど、二人目は女の子が欲しいと思ってたのに男だったのが最初の躓きって(汗)
一人目が自分の思い通りに育ったのに、岳史が思い通りにならないから嫌って…。
ちなみに大人になるまで「気の合わない人間」とは会ったことがないそうな…その理由は、周囲がそれとなくそういった人間が近づかないようにしていた。つまりは「お手伝いさんはこまめに交代。気の合わない親戚は出入り禁止。学校では年度の途中でもクラス替えをさせていた」…これ最悪じゃん。

それでも彼女には理想の家族像・母親像があって「子供を愛せない」なんてとんでもない話で。でも岳史のせいでその理想から離れていくので、どんどん精神的に追い詰められていく。
そこで家族が弾き出した答え。

岳史を外に追いやればいい。

さらにあり得ないのが、それを父親が岳史に「お前の代わりはいるけど、お母さんの代わりはいないから」と伝えたという信じられないこと。

ほんのわずかなエピソードだけど、ものすごい重さを感じましたね。
この後に秋の出生の話になっていくので…これもまた自分勝手な母親なんですよ~~。
うん、だからこそ山伏社長の言葉が生きてくるんですけど…この二人の母親はきつかったわーー!!
ネチネチと書いてないのに、しっかりとその人柄というか…分かるんですよ。
秋や岳史など、自分よりも他人を優先する人たちや金木犀二十四区の持つ温かさの対比なんでしょうね。

勧善懲悪とか、ありきたりなハッピーエンド物ではないですね。
純粋に面白いと思った作品でしたので、おススメします。


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ピラニア リターンズ

ピラニア リターンズ PIRANHA 3DD

ピラニア リターンズ [DVD]ピラニア リターンズ [DVD]
(2012/12/04)
ダニエル・パナベイカー、マット・ブッシュ 他

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製作年:2012年/製作国:アメリカ/上映時間:83分/監督:ジョン・ギャラガー

<STORY>
ビクトリア湖に古代ピラニアが出現して、多くの犠牲者を出した惨劇から1年。湖周辺は人が去り、ゴーストタウンと化していた。
場所は変わってアリゾナ州クロス湖近くにウォーターパークが開園の時を待っていた。
そのプールを母から受け継いだオーナーであるマディが夏休みを利用して帰ってくると、もうひとりのオーナーである義父がプールを勝手に改装し、何とストリップバーのようなものにしてしまった。
さらに、プールの水は勝手に井戸を掘って、湖から引いていた。

クロス湖は地底湖でビクトリア湖と繋がっており、生き残っていたあのピラニアたちが給水路を経て、獲物たちに牙を剥いた。


<感想> ネタバレあり
えー前作に引き続き、お話の内容は「ピラニアが浮かれまくっているバカどもを食いまくる」です。なので、ネタバレも何もないんですが、一応ここから先はネタバレ全開ですのでご了承ください。

冒頭から申し訳ないのですが…本当に正直な感想なので……一言。

面白くなかった……orz

83分とありますが、実際は70分くらいですね。
オマケになるのかな?
あまりよく分からないNG集っぽいのがその後に十数分流れるので、かなり短い作品になります。
それでも、飽きてしまった…orz
これ、劇場で見ていたら本気で「金返せ」って怒ってたレベルです。

何がいけないのか?
それすらも良く分からない(苦笑)

前作に比べると、妙に笑いもバカさ加減も緊迫感もグロさも足りないというか、欠けているというか。

場所が「湖」から「プール」というかなり限定された場所なので、要は「プールから上がれば助かる」んですよね。
湖だと岸から離れてしまった場合は、近くのボートやステージなど以外に逃げ場はないので、そこに人が集中して二次災害などが起きたりしていましたが、プールではそれはないんですよね。

ピラニアは集団で獲物を襲うので、その間に逃げられるんですが……反応が鈍いというか、いや、襲われているという切迫したシーンに見えない。

主人公であるマディはピラニアの危険性に気が付いて、あれこれ義父に進言するけれど結局は聞き入れられないで悲劇が起きました。
でも、クロス湖にピラニアが出たという事実が発覚した以上、警察に「地底湖の水を引いてるんですよー!!マジで危ないんですけどー!!」って一報入れればいいんじゃない?
一応は保安官を買収してあっても、一人なので地底湖の水でプールを運営していると分かれば、前作からまだ一年しか経ってないのだから警察も動くと思うんですけどねぇ…。
これはツッコんじゃいけないところではなくて、脚本の甘さだよ…ねぇ?

いろいろとエロとグロとおバカとあったけれど、前作があったので物足りなくなったようです。こちらが一発目だったらそれなりに「おぉー!!」となったかも。

でも、恐らくは今作の目玉となる「おバカ」シーンであろう場面が妙に無理矢理感が強過ぎた気がします。
お金第一主義のために違法なことをしでかした義父も、ピラニアではなく金持って逃亡しようとしたらワイヤーがいい具合に下がっていて、首チョンパになりました。
その首が宙を舞い、巨乳ネーチャンの胸元にダイブ!
生首ぱふぱふ♪
笑いのツボに入らなかった…ごめんなさい。
それに、首がきれいにスパッと切れるほどプールサイドを走るカートってスピード出るのだろうか?

あと、ピラニアにお尻を噛まれた係員が、まだ客の避難というか救助も終わっていないのに、引火物をプールの給水バルブに入れて火を点けて爆発させたのは大問題でしょう?
あれで、ピラニアが退治されました~っぽくしていたけれど、前作の「なんちゃってダイナマイト漁法」とは意味が違うしね。
あれは買収された保安官が爆発で空中高く舞い上がった銛が天罰とばかりに頭部に突き刺さって死ぬためにやった演出だよね…。
他に犠牲になった人いなくて良かったね。



しかし、実は一番ツッコミしたかったのは、マディさんが「プールの水を抜いて!」と指示したことでした。

あれ?……人がまだいるプールの水を抜くと危険じゃない?

逃げ遅れた客を救うためにマディさん、プールに飛び込んで果敢に抱え上げてましたけど…それも危険だよね?
そして、私の想像通りに排水の勢いが強くて、ピラニアだけでなくマディさんも排水溝に引き込まれて身動き取れなくなっちゃったんですよね。
さらに言うと、水位が下がってしまったので深いプールだと梯子のない場所では上がれないんですよ!!

かえって逃げ道を塞いでますよー!!

ホラーではあまり突っ込むなと言われそうですが、ツッコミどころ満載であまりにも無茶苦茶すぎて、ただ笑うしかないっってレベルにはちょっと勢いが足りなかったのが痛いなー。


唯一のホラーらしいシーンだな、と思ったのはラストのピラニアが進化して歩くようになったと判明した場面。
子供が地上なら安心とピラニアを撮影しようとした瞬間、飛び上がったピラニアに首をもぎ取られて倒れる。それを見た周囲の人間がここぞとばかりに「携帯やデジカメで死体とピラニアを撮影する」シーン。

秋葉原の通り魔事件でもありましたが、倒れた人を夢中で撮影する人が続出して、救助に当たっていた通りすがりの医師が怒ったという話を聞きました。

子供が死ぬシーンってあまりないので衝撃的なんでしょうが、それ以上にそれに群がる大人たちの方が嫌な感じでした。
あの後、ブログやYouTubeなどにアップしてアクセス数が凄いことになるのを喜ぶんだろうなぁ…と。
作中に前作のお魚博士が自分のピラニア動画のアクセス数を喜んでいたシーンがあったのは、ここにかかってくるのかしら。

「殺人魚フライングキラー」のような続編があるのかもしれませんが、その時はもう少し考えて欲しいかな。
もう無茶苦茶な設定なのは分かっているので(笑)


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スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師

スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師 Sweeney Todd:The Demon Barber of Fleet Street

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 [DVD]スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 [DVD]
(2010/07/14)
ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター 他

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製作年:2007年/製作国:アメリカ&イギリス/上映時間:117分/監督:ティム・バートン

ただいま発掘作業中(笑)
読書感想だけではなく、映画感想も結構あったので特にホラー映画の感想を選り抜き再掲載します。


この作品は珍しく「映画館」で見た作品です。しかし、久しぶりに見に行った映画がこれってどうよ(笑)?

まぁ、内容も確かに私の興味をかき立てるものだったけど、それ以上に主演のジョニー・デップへの愛がなせる業かな(爆笑)
CMを見ているだけで、「なんですか、これ?」と目を奪われるものでした…そして詳しい内容をサイトで知って、さすがの私も悩みましたね……「パフューム」の例があるから期待していいものかどうか。不安なのはグロさではなく、殺人鬼の期待外れ(苦笑)

それにしても、この作品は誕生の歴史からして面白い。

そもそも「スウィーニー・トッド」とは何者か?
実在するのか否かすらはっきりしていないくらい、逆に言えば「いろいろと創作され続けた」作品らしい。
一応は今から150年前の産業革命ど真ん中のロンドンで、客の首を掻き切った理髪師として名前が残っているというか、これが最初の「スウィーニー伝説」らしい。
どうしてあやふやなのかと言うと、当時のロンドンは世界一有名な殺人鬼「切り裂きジャック」の時代……治安が悪すぎた。
貧富の格差は開く一方で、民衆の娯楽が「公開処刑」という非常に恐ろしい時代だった。
なので、この「スウィーニー」の事件が起きた時に、新聞社はこぞって事実とフィクションを織り交ぜて大衆向けに記事を発表していったという。
それに触発されて一種の都市伝説と化したらしい……「口裂け女」のようだ(笑)
その後、ひとりの作家が「理髪師とパイ屋」という組み合わせで書いた作品が大ヒットしたのを皮切りに「スウィーニー・トッド」は一躍スター?になってしまった。
そのため、本当に彼が存在したとかという事すら分からないらしい。
もうどうでもいいんだね(笑)


実際にはこの映画の元になったのはブロードウェイで上演されたスティーブン・ソンドハイムの舞台。
しかし、上演時間3時間のミュージカルを2時間の映画にしたからかなりの脚色がされたようだ………この内容でどうやって3時間?というのが正直な感想(笑)
いや、映画そのものが面白くなかったわけではない。
ただ、これは映画の形になったミュージカルで、前に公開された「オペラ座の怪人」と一緒。全編、ひたすら歌、歌、歌。
苦手な人はダメでしょう(笑)

そもそも、この作品の内容は「美人の妻に横恋慕した判事によって、無実の罪で終身刑を言い渡された理髪師が、脱獄してロンドンに舞い戻り、復讐を遂げるまでひたすら人を殺して行き、共犯者のパイ屋の女主人がその被害者をミートパイにして証拠隠滅している話」なのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。

見ているこちらはただ「復讐は果たされるのか?」という一点でドキドキしている。

元が舞台なだけあって、そんなに場面転換はないし、登場人物も限られてくる。
その中で、誰がどういった役割なのかも非常に際立って描かれているので、普通に考えてしまうと「ご都合主義」になってしまう。

笑えるのが、脱獄したスウィーニーを助けた船乗りのアンソニー
彼は敵役のターピン判事が後見人として監禁して養育しているスウィーニーの娘ジョアナに窓越しに一目惚れし、終いにはさらって駆け落ちする役割だ。
この男と一緒で本当に彼女は幸せになれるか不安になった…やる事なす事が中途半端でボロ出しまくって(苦笑)
でも舞台よりも映画では出番が増えたらしい(笑)
ラストで若い二人が全く登場しなかったのは、あくまで主人公スウィーニーの人生を描く作品だからか……。

本当に「理髪師とパイ屋」の話です。
ジョニー・デップと相手役のヘレナ・ボナム・カーター以外は完全に無視された形の内容でした(笑)
これも映画というより舞台の作りですね。
内容を追うよりも、ひたすらジョニー・デップの歌に聞き惚れる映画ですね。
本当に……もうジョニー・デップという俳優は役ごとに顔を作り替えているんじゃないかと思われるくらい凄い。
役になりきるというのは、もう他の役どころか素顔すらも窺わせない事を言うのだろう。
舞台挨拶の時のジョニー・デップと作中の彼は別人のよう…今に始まったわけじゃないけれど(苦笑)
狂気に駆られた殺人鬼は本当に凄まじかった……怖いよ。

さて、以下は映画の批評というより、作品の感想。
この「スウィーニー・トッド」という物語を始めて知ったのですが、ホラー好きの私としてはここらへんに注目!という与太話になります。


以下、ネタバレ!!















喉を切り裂いた死体が足踏みペダルひとつで、階下のパイ屋の調理場へ真っ逆さま♪
これが衝撃のシーンなのですが、その後の死体がパイになる部分はちゃんとカットされております。
でも、最後に下働きの少年が真実を知る時にひき肉製造機の場面があった…普通にひき肉が出来るのだけど、ある意味これはグロイかも(苦笑)

人肉料理はホラーでは王道ですね。

ドイツで起きた大量殺人事件でも、死体は肉屋で売られたり、ホッとドックに形を変えて市民の口に運ばれました…これは実話です。
やはりそこでも「おいしい」と繁盛しておりました……だから人肉は美味とされるのですが、実際は「雑食」である人間の肉はクセがありそうです。熊肉は好き嫌いが出ると聞きました。
ちなみに「肉食」の動物は独特の体臭があるそうですよ…糞は悪臭を放ちまくるとか。
本当においしいかどうかは別として、貧富の差が非常にあるロンドンで「肉」をふんだんに使った料理は歓迎されたのでしょうね。

お約束なのが、下働きの少年がパイを食べている時に口の中に異物を感じて、ふと取り出してみるとそれはどう見ても人間の指だったという……機械でミンチにしていたからありえないだろうに(笑)
もしそうならとっくに他の客にばれてたって(爆笑)

それにしても、犠牲となった男性を解体してミンチにする作業は大変だろうなぁ。
作業その1、まずは服を脱がす。
動かない人間から全ての服を脱がすのは大変なので、ハサミなんかで切りながらやるにしても、成人男性なので大変だと思います。

作業その2、血抜き。
盛大に喉を掻き切るから血抜きになるのかな?それにしても上の理髪店は血だらけになってるはずなんだけど、床やら椅子は綺麗なの(苦笑)
作業その3、肉の解体処理。
死体を利用するといっても、丸ごと全部ではない…まず内臓を取り出して、体をブロックに切り分けて、骨やら爪やら髪の毛や皮なんか取り除かないと…。

とてもじゃないが、ミセス・ラベット一人じゃ無理でしょうに。

死体処理といいつつ、その「使えない部分」はどうしてしたんだ?
(ちなみに実話の事件は、大量の白骨が近くの川で発見されて発覚しました。)

そのあたりはスルーするのがお約束♪
突っ込むのはホラー慣れしている人間だけだ(笑)


意外だったのは、頭のいかれた物乞いの女
パイ屋から吹き出す黒い煙と異臭に勘付いて騒ぐのだけど、誰も取り合わない。ミセス・ラベットも店に近づくと躍起になって追い払った。
これは後々の伏線だった事に気がつかなかった……追い払うのは「悪行だ!」と騒ぐせいだと思ってた。
ところがどっこい、この女が実はスウィーニーの愛する妻の成れの果てとは。
確かにミセス・ラベットは「毒を飲んだ」とは言ったけど、「死んだ」とは言ってなかったものね……恐るべきは女の横恋慕。

気がつかないまま妻の喉を掻き切って殺したスウィーニー……うーん、なかなかシュールなラストに仕上げてあったなぁ。
最初はアンソニーに連れて来られた娘を、口封じ(敵である判事を殺す現場に居合わせた)に気がつかずに殺してしまうのかと思いきや、それは回避。
その直後、実はさっき殺した女が妻でした!というどんでん返しは驚いた。
やはり復讐の代償はでかいね。

この仕返しにミセス・ラベットは喉を切られるのではなく、大きなオーブンに突っ込まれて生きたまま焼かれるという凄まじさ。
気の毒だけど、自業自得か。
最後は全てを知った下働きの少年に後ろから首を切られて、愛する妻の死体を抱えたまま絶命するというのは王道中の王道だね。
元は戯曲なんだし…。

少なくとも「パフューム」よりはすっきりしたラストだった(笑)
あまり捻り過ぎるとオチが面白くなくなる典型的な例だったからなぁ…。

これでお終いだったので、アンソニーとジョアナは無事に駆け落ちできたのか分からなかったんだよね(笑)
ほぼ軟禁状態とはいえ、裕福な環境で育てられたジョアナは、まず自分で家事をする生活はできないでしょうに。
それを船乗りのアンソニーと生きていけるのか?
血まみれのスウィーニーを目撃した彼女はその後に発覚するであろう事件を知る事になるのか?本当の両親の死体と養父の死体が発見されるんだよな。
まぁ、事件の全貌は明らかになっても、事件の根底にあった真実は誰も知らないだろうし……って、アンソニーが概略とはいえ知ってる(汗)
スウィーニーの前身が無実の罪を着せられた理髪師だって最初に聞いてたっけ。
いや、あの子は少し抜けているから大丈夫か(苦笑)

あの後、スウィーニーを殺した少年はどうするのかな。
ミセス・ラベットに母親を慕うような感情を持っていたけれど、彼女も焼死しちゃったからなぁ…一応、人肉パイ屋の下働きだったし、取調べとか厳しそう。
でも、この作品の判事はとんでもない悪徳判事でしたが、実際の判事はちゃんとお仕事しているようなので、大丈夫かな?

物語とは関係ないところをあれこれ考えるのは悪い癖(笑)

でもホラーとしては王道でした。
この作品はジョニー・デップの美声に酔いしれて下さい!

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フランケンシュタイン

フランケンシュタイン FRANKENSTEIN

フランケンシュタイン [DVD]フランケンシュタイン [DVD]
(2011/02/22)
ボリス・カーロフ、コリン・クライヴ 他

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製作年:1931年/製作国:アメリカ/上映時間:70分/監督:ジェイムス・ホエール

<STORY>
若き科学者ヘンリー・フランケンシュタインは生命を創造することに熱中していた。墓地や絞首台を巡り、助手のフリッツと共に死体を集め、使える部分を繋ぎ合せて人造人間を作っていた。
ある嵐の夜、脳みそまで手に入れることができたヘンリーは、作り出した実験体に雷光の高圧電流を流してついに人造人間を創造することに成功した。
しかし、その後に悲劇が起こり始める…。

<感想> ネタバレ
「ドラキュラ」と並んで世界的に有名な怪物「フランケンシュタイン」。
原作は1818年に発表されたメアリー・シェリーの「フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス」です。
よくよく考えてみると、実はフランケンシュタインは原作も映画も一度も見たことが無かったんですよ…知っているのは全部パロディ作品やオマージュ的な作品ばかりで、本家本元を見事にスルーしていました。
その中でも一番のお気に入りは故 和田慎二氏の「わが友フランケンシュタイン」ですね。

今回、鑑賞したのは1931年のボリス・カーロフが怪物を演じる「フランケンシュタイン」です。
この作品を見なくちゃ始まらんでしょう(苦笑)
この人の名前はベラ・ルゴシ同様、よく見かけますから。

これ以降、普通にラストまで語っていますのでご了承ください。
70分という非常に短い時間で、STORYは実にコンパクトにまとまっていました。

製作年を考えれば当然なんですよね。何せ第二次世界大戦だよ。
映像特典でのメイキングで語られていましたが、今では当たり前のシーンもかなり観客にはショッキングだったようで、公開時に少女を湖に投げ込むシーンのカット、「私は神になったのだ!」というセリフのカット、また「生命創造」というタブーを犯す内容のために、カトリック教の団体から圧力などを受けたそうです。

人体破壊描写が物足りないとブーイングが出る昨今のホラー映画はどうなる(笑)?

映画を見ていて、非常にもの悲しくなるのは、やっぱり「フランケンシュタイン」という作品が持つ「人間の傲慢さ・身勝手さ」に翻弄されて悲劇的な結末を迎える怪物の姿が描かれているところですかねぇ…。

原作と映画の最大の違いは、怪物に知性を持たせないところでしょうか。
原作では生まれた時から怪物は優れた体力と人間の心、そして知性を兼ね備えていたのに対し、映画や舞台では知性の低いモンスターとして扱われることが多いそうです。
これは原作もしっかり読まないとなー。

でも、この1931年の作品を見る限り、知性が低く狂暴ではなくて、ただ単に子供と同じで無垢で本能的に行動しているだけなんですよね。

痛いことをされれば、嫌だし、怒るし、反撃もする。作中、助手のフリッツは制止を聞かずに怪物を執拗に痛めつけていたので殺された。
教授は投与した薬物が完全に効いていないのを分かっていて、そのまま解剖しようとしたため、目覚めた瞬間に殺された。

最大の見せ場は、少女と出会った怪物が、花を差し出された時にとても嬉しそうだったところです。あの場面で、少なくとも怪物は敵意むき出しで、人を殺すことが楽しいわけではないのが分かります。
ただ…ここで一番の悲劇が起こるんですけどね。
花を湖に投げて、「お花のボート」を作って遊んでいたとき、手元の花が無くなった怪物は、花と同様に少女を湖に投げ込んでしまうんですよ……あれ、見ていてものすごく痛いシーンだった><
花と違って浮かんでこない、沈んでしまった少女を見て、自分のしたことが、とてつもない過ちだと気が付いた怪物の狼狽えぶり……この一連のボリス・カーロフの演技がすごい!!

怪物に使われた脳みそが実は「犯罪者の脳」であり、それが原因で凶悪な怪物になってしまったとなっているんですが、それはこのシーンで否定されます。少なくとも私の中では完全に否定されました。


自分の欲望で創造しておきながら、面倒が見きれなくなって捨てたヘンリーが一番の悪党ですわ。
しかも、死なずに生き残って婚約者と結婚して終わりって……代わりに怪物の始末を引き受けて死ぬはめになった教授が気の毒過ぎる。フリッツは自業自得とはいえ、怪物の無垢さゆえに犠牲になった少女も浮かばれん。

原作ではヴィクター・フランケンシュタインでしたが、映画ではヘンリー・フランケンシュタインで、友人がヴィクターになってましたね。
原作通りならば、怪物に友人も婚約者も家族も殺されるんですが、映画ではちょっと痛い目に遭うだけで済みますよ…しかも、怪物退治に貢献してないねー。
創造主がこうだから、なおさら怪物の悲劇性が際立つのかな。
閉じ込められた風車小屋に火が放たれ、逃げ惑う怪物の姿は悲しいですよ…人間が一番怖いわ。


やっぱり名作は名作でした。
ちなみに映像特典として収録されている「Boo」は面白かったです(笑)あれ、パロディなんだよね?恐らくは数々のホラー作品を繋ぎ合せて作っているのでしょうが、笑えます。

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スタイルズ荘の怪事件

スタイルズ荘の怪事件 The Mysterious Affair at Styles

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2003/10)
アガサ クリスティー

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<STORY>
第一次世界大戦中に負傷しイギリスに帰還したヘイスティングズは、旧友ジョンの招きでスタイルズ荘を訪れる。ある夜、20歳年下の男と再婚したジョンの義母エミリーは突然発作を起こし、一時持ち直したが再び発作に襲われた彼女は息絶えてしまう。エミリーの死に疑問を抱いたヘイスティングズは、再会した旧友エルキュール・ポアロに事件の捜査を依頼する。


ご存じミステリの女王アガサ・クリスティのデビュー作であり、シャーロック・ホームズと並んで世界的に有名な名探偵エルキュール・ポワロの最初の事件です。

今さらなぜこの作品を読んだのか?

答えは簡単。
読んだ事がなかったからw

横溝正史全集とシャーロック・ホームズ以外はまばらなんですよね。
クリスティだけでなく江戸川乱歩もエラリィ・クイーンもちゃんと読みたいのですが、古いので古本屋でも図書館でも置いてある作品がまばらのせいw
購入するには作品数が多くて無理なんです。
そんな訳で、クリスティのデビュー作も今まで読んでなかったのは図書館になかったからでした。
しかし先日行ってみると寄贈されたのかあったんですよ。他の作品はあったのですが、最初ってやっぱり読んでみたいじゃないですか。

<感想>
さて、この作品。
語り部であるヘイスティングズが戦争で負傷した体を静養するために、旧友に招きに応じて閑静なスタイルズ荘に赴くところから始まります。
そこでスタイルズ荘の主であり、富豪のイングルソープ夫人が深夜に何者かによって毒殺されるという事件が起きます。
偶然、その村に居合わせたポワロとヘイスティングズが再会する事により、ポワロがその事件を解き明かすという算段になるわけです。

1920年(ここでいう「戦後」は第一次世界大戦ですからね:苦笑)に発表された作品ですが、十分に読み応えのある作品でした。
それというのも、古過ぎて付いていけない部分があまりなかったからでしょう。現代から考えると文明の利器といったものがあまりにも古過ぎて、今の私たちから考えるとあまりにお粗末なトリックというものは多々あります。
これはもう発表された年代を考慮するしかないんですけどね。

今回、犯行に使用されたストリキニーネという薬の特徴(これが事件の鍵となる)は元々薬に精通していないと分からないのでスルーします(苦笑)
しかし、この薬は他のミステリ作品にも度々登場しますので、かなり有名なんですね…。
あとは文章に書かれた事柄を追って、推理していくので…まぁ、犯人当ての条件は今も昔も一緒かと。
ただ、語り部であるヘイスティングズがミスリードしてくれますので、読む方はそれに気をつける必要がありますが(笑)

私はもともと推理に向かない頭をしているので、しっかり作者の思惑通りに振り回されましたw

クリスティの「散々、疑わせておいて空振りさせ、その上でさらにどんでん返しが待っている」という王道がしっかりとあります。
これが見事に成立すると騙されても「ああ、ミステリを読んだな~」と満足感が得られるのですが、逆に卑怯なやり方だったり、あまりにも突拍子もないものだと「時間と金返せ!」と作者にクレームをつけたくなります(笑)

ちなみにクリスティの作品で「ABC殺人事件」「オリエント急行殺人事件」を小学生の時に読みました。
当時の私は「ABC」は良かったのですが、「オリエント」のオチには怒った記憶があります(苦笑)
納得いくいかないは個人の差でしょうね。

同時期に「海辺の殺人」という作品も読んでいるのですが、内容が全く思い出せません。
これは小学生向けに出版された推理小説全集の中の一冊で、実際のタイトルがどうも「なぜエヴァンスに頼まなかったのか?」らしいんですね。
途中で飽きたのか、それとも印象に残っていないだけなのか…いずれ改めて読むと思います。

最近の推理小説ではなかなかしっくりといかないのは、私自身が古典的手法を好んでいるせいでしょうか?
つまり、探偵が「さて、みなさん」と一同を見渡しながら事件を解くという現実では絶対にあり得ないシチュエーションが好きなんでしょうね(笑)
でも、名探偵コナンや金田一少年の事件簿が人気を博したのはこれに沿っているからじゃないかな~とも思います。

久しぶりに楽しい読書でしたw

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幻の女

幻の女 PHANTOM LADY

幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))
(1976/04/30)
ウイリアム・アイリッシュ

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<STORY>
その時刻、彼はただひとり街をさまよっていた。
たまらない不快な想いを胸に、バーに立ち寄った時、奇妙な帽子を被った女に出会った。形も大きさも色までもカボチャにそっくりなオレンジ色の帽子だった。
彼は気晴らしにその女を誘ってレストランで食事をし、カジノ座へ芝居を見に行き、酒を飲んで別れた。
そして帰ってみると、喧嘩別れをして家に残してきた妻が首に彼のネクタイを巻きつけて絞殺されていた。
彼の不在証明(アリバイ)を立証できるのは、名前も年齢も住所も知らないあの女だけだった。
しかし、誰一人として彼が女と一緒にいるところを覚えているものはいない…女の存在そのものが立証できなかった。
刻一刻と迫る死刑執行の日。唯一の目撃者である「幻の女」はどこに?



<感想>
古典ミステリというより、サスペンスと言った方がふさわしい小説です。
小学生時代に、少年少女推理小説全集みたいなものがあって、それで読んでいました。もう一度読んでみようと思って図書館で借りました。
殺人事件の概要と「幻の女」の正体と犯人は覚えていたのですが、その間はまるっきり忘れていたので、ようやく一つの作品にまとまった感じです。

実はこの作品、急逝された漫画家の和田慎二氏「愛と死の砂時計」という作品で描いています…と言っても「幻の女」を漫画にしたのではなく、この作品の趣旨を別作品に投影して描いたというべきでしょう。
主人公は「彼」ではなく、その婚約者の女性で、殺されたのは「妻」ではなく、その婚約者の保護者いうか後見人というか…学園の理事長だったかな?
「彼」がその学園の教師で、婚約者はその生徒という設定でした。
教師と女学生の恋ということで、当然のごとくその理事長は反対していました。それでも結婚の了承を得るべく、ふたりは努力を重ねていたわけです。
ある日、理事長から呼び出されて理事長室に行ってみると…死んでいたわけですね。
死亡推定時刻と思われる時間に、彼は自殺しようとした一人の女性に出くわし、思いとどまるように説得していたというのですが…はい、この自殺未遂の女性が「幻の女」なのですね。

こんな感じで設定が変わると、それに付随した事柄も変わっていくので似ているけれど別の作品になるんですよね。
私は先にこの漫画を読んでいたので、知らずに「幻の女」を読んだ時は本当に驚きました(笑)


さて、小説の方ですが。
改めて読んでみると、小学生の時とは全く別の感想が湧きあがってきます。
子供向けの訳と大人向けの訳では当たり前かw
今も昔も驚く箇所が変わらないのは「妻殺しで死刑宣告を受ける」「死刑執行がやたらと早すぎる」という点でしょうか。
なんと「事件発生」からわずか150日後で死刑執行となるんですよ…その間に捜査・立件・裁判・判決がある。

早すぎじゃありませんか?

ちなみにこの作品が書かれたのは1964年で舞台はニューヨークです。
アメリカの法律は日本のものとは異なりますが、これはちょっと理解しにくい部分でした。
あと意外だったのは「妻殺し」で死刑判決が出るところでしょうか。

すっかり「一人殺しただけで死刑は重すぎる」という考え方が定着してしまいました。(この言葉を弁護士が平気で言うからいけないんだ!)

まぁ、このあたりは国と文化・法律が違うからどうにもなりません。
違和感は拭えなくても、作品としては成立するのだからスルーする以外に方法はありません。
この作品の面白さはそこじゃないしね(苦笑)

とにかく、無実であるのに死刑宣告を受けてしまった彼を唯一救える「女」の行方を読者は追いかけるわけですよ。
また特筆すべきは、
この作品には探偵は登場しません。

何しろ読者は彼が無実である事を知っているし、また「事件の真相を解く・真犯人を探す」ことではなく、とにかく「無実を証明できる女を探す」ことが延々と書かれているわけです。

問題のその女ですが、「本当に誰一人としてその女を記憶していないのか?」となると、実は違うのです。
彼と女が一緒にいた事を証明できる人間はちゃんといたのです。
しかし、なぜか揃いも揃って誰も「見ていない」「知らない」と証言するのだからおかしい。
彼らは自分の証言が無実の男を死刑台に送り込むと分かっていて、そんな証言をした事になるわけです。
果たしてその真意は?と疑問が浮かび、彼の無実を信じて「疑惑の証人」や「女の手掛かり」を追いかける彼の友人彼の恋人(←既婚者なので不倫なんですよね。これがまた不利に働いたのですが…)が頑張るわけなのですが……ここはお約束で、その証人や手掛かりを知る者が次々と死ぬんですね~。
このサスペンスドラマの王道はこの「幻の女」からなのかな?

散々、振り回されて最終的にどんな結果を迎えるかは読んでのお楽しみになるのですが…その結末にはちょっと疑問もあるんですけどね(笑)
基本的には「意外な犯人」が確かにいいのですが、ちょっと意外過ぎて違和感が拭えなかったのも事実です。
もし犯人がその人物ならば、そこに至るまでの経緯というか、会話で不自然な部分があるからです。ただ、これは翻訳の結果かもしれないので何とも言えないかな。

ちなみに、この作品で殺されてしまった「妻」ですが……申し訳ないけれど全く同情の余地なしの人物で逆に笑えました。
殺人犯に仕立て上げられた夫は、新しい恋人(←この女性は本当に頑張る頑張る)がすでにいて、離婚をしようとするのですが、妻が全く相手にしない。すでに愛情なんてないけれど、自分と離婚できないと夫は新しい女とは結婚できない。嫉妬とかプライドの問題ではなく、どうも焦る夫を見て楽しんでいるようなんですね…。話し合うそぶりを見せて期待させておいて突っぱねるといういわゆるドタキャン?をし、それで喧嘩となって、夫が家を飛び出す事が事件の始まりなんですが…この妻の人物像を見る限り、いつ殺されても文句は言えない女性なんですよ。
真犯人によって殺された理由も何というか…殺人は許してはいけない罪ですが、被害者にだって多大な落ち度があるという典型的な例ですね。

この作品中の法律に照らし合わせるなら、逮捕された真犯人は確実に死刑かな。
最近、どうも推理物を読むと事件が解決しておしまいのはずなのに、逮捕された犯人の判決が知りたくなります。
「名探偵コナン」や「金田一少年の事件簿」では連続殺人が当たり前で、それなりに犯人側にも事情があったとしても、どういう裁判になるのか気になってしまいます。
中には金銭欲や名誉欲など身勝手な理由による殺人もあるので、こちらはほぼ死刑確実じゃないだろうかとも思いますね。
死刑制度に関してはいろいろと意見もありますし、諸外国の人権擁護団体からは抗議文を突き付けられていますが、私はどうも「死刑廃止」は考えられないんですよ。
被害者遺族の復讐という意味合いもありますけど、意外にもこの一言が実は原因だったりします。
例の「人を一人殺したくらいで死刑は重すぎる」という奴です。

死刑は立派な合法殺人だというのが死刑廃止論にありますが、殺された方の身になって見ればやはり「目には目を」の気分になってしまいますね。
まぁ、これは作品とは関係ないのですけど。

総合的にこの「幻の女」は面白い作品だと思います。

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独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短編集

独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明 短編集

著者:平山夢明 光文社

Amazonで検索しましたが、商品情報出ませんでした。
以前使っていたブログにも読書記録が少しあったので、そちらを閉鎖する前に移そうと思います。
この読書感想は2007年の記録です。


<感想>

題名だけだと「何なんだ?」と思われる本である。
しかし、内容も「だから何なんだ~!!」と叫びたくなる事、必至である(笑)

ホラーアンソロジー「異形コレクション」でもお馴染みになりつつある作家なのですが、実はすでに十年以上前にこの作家の本を読んでいました。
ノンフィクションに分類される「異常快楽殺人」がそれです。
現実に存在した殺人鬼たちを書いた本で、ある意味この本が私がこっちに興味を覚えるきっかけとなったのかもしれません。

今回の短編集は異形コレクションで掲載されたものもあれば、他の雑誌や企画などで執筆されたものもありました。
アマゾンかヤフーで既読者のレビューを読んでこの本の発刊を知り、とりあえず読んでみようと、図書館で借りてみたのですが………これは思いっきり好き嫌いが分かれる作品ですわ(笑)
もともと「ホラー」ってどこに恐怖を持ってくるかでかなり変わりますからねぇ。

ちなみに私は気に入りました(笑)
以下は収録作品の感想です。


C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食と老婆 水木しげる監修「妖かしの宴3 御伽草子」初出
「御伽草子」がテーマなのだろうか、文章がそれっぽく書かれています。
問題は少年と乞食が登場するのですが、ニコチンと老婆はどこに関係しているのか…という実に単純な疑問が出てきた事でしょうか。
どうでもいいんですがね(笑)
淡々と綴られる主人公「たろう」の物語なのですが、とにかくサバサバした文章にどぎつい内容のミスマッチさが薄気味悪い世界を演出しています。
きれいな水が徐々に毒に冒されていくような感じですね。
でも人間の中にある「優しさに隠れた残酷さ」が妙にひしひしと伝わってきました。
そうなんです。
人間は「戦争反対。いじめは最低だ」と言いながら、嫌いな人間に対しては徹底的に嫌がらせをする生き物なのです。そして、それを指摘されれば「だってその人が悪いじゃん。私は間違っていない」と当然のように言い切る生き物なのです。
……過去の嫌な記憶が甦った作品でした。



Ω(オメガ)の聖餐 井上雅彦監修「異形コレクション 世紀末大サーカス」初出
はっきり言ってグロイ。
何がグロイって問われれば、内容そのものから腐臭が漂うと答えます。
テーマが「サーカス」だけではなく「世紀末」が付くのだから、サーカスの現実とは違う妖しさが加わり、さらに世紀末から終末思想を連想させるところがこの「破滅主義」的な結末を生んだのか。
一種のフリークショーを見ているような錯覚を覚えます。
一応の注意事項として食前には読まない方が無難な作品かな。



無垢の祈り 「問題小説 1999年3月号」初出
いじめに関して言えば、周囲の人間すべてが敵に回ったような絶望を感じるとしか言いようがありません。
主人公の少女が助けを求めたのが、父や母でもなく、先生でもなく、友人でもなく、警察などの社会でもなく、姿を隠した殺人鬼だったのは少女の中に巣食った絶望のせいなのかも。
人を残酷な方法で殺している殺人鬼よりも、少女に冷たい仕打ちを与える親や友人の方がはるかに残酷で怖い存在だと思わせるような話でした。
よくある話と言われればそれまでだけどさ。


オペラントの肖像 井上雅彦監修「異形コレクション アート偏愛」初出
世界観が面白かった。
かつてイタリアでサヴォナローラだったかな、実在した僧侶が打ち出した政策がそのまま実現した近未来の話です。すなわち、「芸術(アート)は人を堕落させる」…。
サヴォナローラは一般市民が持っていた「実利にならない」絵画や彫像、装飾品などを取り上げて焼き払ったと言います。
最初は彼の清貧さを支持していた民衆はやがて彼のやり方に反発し、結局サヴォナローラは失脚する訳ですが…この世界では「芸術」は徹底して否定されていますね。
主人公の純粋な思いが結局、自身を破滅させる結果となるのですが、最後の一文がものすごく重い…。怖いというより悲しい話でした。


卵男(エッグマン) 井上雅彦監修「異形コレクション ロボットの夜」初出
この作品を読む前に、殺人鬼ハンニバル・レクター博士の登場する有名な映画「羊たちの沈黙」を見ていない人は見ましょう(笑)
絶対にその方がこの作品は面白くなります。
レビューで「<羊たちの沈黙>のパクリじゃん」と書いてあったのですが、それは筋違いというもの。作者は意図して「羊たちの沈黙」を真似たんですって。
だからこそ、最後のどんでん返しが面白いんじゃないかな。
私は素直に騙されました(笑)


すさまじき熱帯 「小説宝石 2003年6月号」初出
何が言いたいのか分からないぞ~と叫びたくなった作品。とにかくこれもグロイ話だった。こちらは作品から死臭腐臭が漂ってきます。
ただ、登場する「ドブロク」というキャラクターに声を当てるなら、ぜひ玄田哲章氏にやっていただきたいと思った。いい年した中年オヤジが「ダーリン~♪」っていきなりオカマになるシーンがインパクト強かったから(笑)


独白するユニバーサル横メルカトル 井上雅彦監修「異形コレクション 魔地図」初出
表題作ですが、この作品は「第59回日本推理作家協会賞」を受賞したそうです。
「ユニバーサル横メルカトル」という単語を見た時、さっぱり分からなかったんですが要は「地図の種類」なんですよね。
テーマが「魔地図」なので、この「ユニバーサル横メルカトル」さんが主人公なんですよ……ええ、地図が主人公です(笑)
素直に面白いと思った作品です。まさかこんな形で「地図」を捉えるとは思ってもみませんでした。
私は全く地図が読めない女なので、この主人公には嫌われるかもしれません…でも、性格が非常に紳士で真面目なので「仕方がないな」と思いつつも、面倒見てくれるかも。


怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような頭(おつむ)の男 井上雅彦監修「異形コレクション 夢魔」初出
一番難解な作品でした。
世界観がいまひとつ掴み切れなかった……近未来なのか現代なのかすら分からなかった。
主人公の男が従事している職務も一応は分かるんだけれども…前述の「オペラント」のように「どうしてそんな職務が必要なのか」という理由がなかったので、微妙に把握し切れない。
拷問描写が延々と続くので、暴力シーンが苦手な人は要注意かな。
ただ、この後「異形コレクション 蒐集家(コレクター)」で似たような作品があるんですよ…この作品で拷問が満足に書けなかったから、改めて気合い入れて書いたなんて言うんじゃなかろうか(笑)

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共喰山

共喰山 PRIMAL

共喰山 [DVD]共喰山 [DVD]
(2011/11/09)
ゾー・タックウェル=スミス、クリュー・ボイラン 他

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製作年:2010年/製作国:オーストラリア/上映時間:84分/監督:ジョシュ・リード

<STORY>
オーストラリアの森深くにある古代壁画を目指して、6人の若者がキャンプがてらに向かった。無事に壁画のある洞窟に辿り着いたものの、近くの池で泳いだ一人がヒルに襲われて高熱を出す。
口から血を流し、歯が抜け始めたために、一度病院に連れて行こうとした矢先に、彼女は鋭い牙をもつ食人鬼に変貌してしまった。


<感想> ネタバレあり
賛否両論の作品らしいですね。
面白い!という人と、期待したほどじゃないという人と両方の感想ブログを読みました。
私はと言うと、面白かったです♪

期待外れのブログに「『処刑山』の二番煎じ」とありましたが、そちらはノルウェー映画ですし、どちらも邦題だから作品そのものに文句言っても仕方がない思うんですよね…本当にこの邦題って誰が付けるんだろう。しかも勝手に「「山」シリーズ第二弾 海にすればよかったね」って…中にはこれを作品を減点対象にした人いるんじゃなかろうか。

それはまぁ、ホラー映画のお約束というか…ある意味、避けられない宿命なのでしょう。

時間が84分という短さもあって、非常にスピーディーな展開でした。
何よりも「とにかくこれはホラー作品なんです」という主張が、あまり余計な謎解きやつじつま合わせをスルーしていて良かったと思います。(←いいのか?)
投げっぱなしにするのは良くないとは思いますが、個人的にはサスペンス系や思わせぶりな展開をした場合に気になるところなので、この作品は文句なしでスルーです。スルーでいいです(苦笑)

冒頭で12000年前の原住民が、問題の壁画を描いていて、後ろから鋭い牙を持った人間に襲われるところだけでもういいですよ(笑)
ついでにその壁画に描かれていたのが、まぁ…元凶の化け物なんでしょう。
そして主人公アーニャさんの遠いご先祖様がその壁画を調査中に何やらあったというのも、軽~く差し込まれていたので、その後の展開を受け入れる下準備になっていましたね。

そう、その後の展開。

池で泳いだ金髪娘のメルさん。
あんな汚い池で全裸で夜泳ぐってすごい(←私なら手も入れたくない!!)
ヒルは考えなかったけれど、衛生面での問題と寄生虫(←大学での必須科目でした)の心配をしてしまいます…授業中、アフリカの話だったかな?教授が「うっかり腕を池に入れちゃってね。この幼虫(確か住血吸虫系)がびっしり食いついて赤い斑点だらけになった」とにこやかに語ってくれました。(人間に寄生するタイプで無かったので虫刺され状態で済んだそうですが…怖いです)

その後、発症?して食人鬼に変わったメルさんは本当に怖かった…。
ええ、怖かったですとも!!

DVDパッケージに載っているのはふたりの食人鬼で、後ろに霞んでいるのが変貌者二人目のデイスさんなんですがねぇ…影薄いです(苦笑)
本編中でもメルさんほど活躍してません。
この作品の怖さは全部メルさんのおかげです。

ガオーッと文字通りに飛びついて襲ってくる様はうなされそうです…実は、本当に昨日の夢に出てきました(泣)
まだ見てなかったのに…メルさん、出張して来てくれました…頼んでないのに(大泣き)
いかに、このパッケージのメルさんが怖かったか実感しました…orz

以下ネタバレします!











王道のB級ホラーで、とにかく仲間割れしている間に事態は深刻化する展開です。
メルを捕えるか殺すかでもめ、捕えた後にどうするかでもめ…ここでメルに皮肉屋のウォーレンがあっさり殺されます。
その後、このウォーレンの死体を食うメルを見て、デイス・クリス・アーニャはメルさんを殺すと言いますが、メルの彼氏であるチャドだけは「助ける」と言い張ります。
よく言ったな…と思いましたが、こいつがまぁ役に立たない!!
結局、池に入ってしまったデイスが発症するのですが、その前に殺さなきゃ!!と主張するのはいいけれど、誰もが自分はやりたくないという…そりゃそうだ。
でもさ、デイスがメルを殺すって言ったことに反発して、「こいつが言い出したことだ!」って言ったチャドが殺すのが筋ってものでしょう…。
なのに「クジ」って…残ってるの女性なのに、本当に役に立ちません。

役に立たないのはもう極まっていて、メルにひたすら声をかけて、唯一の武器?である松明を下ろしてしまい、襲われた挙句、クリスがさらわれる時もただ座っていて、「逃げろ!」と叫ぶだけでした。
その後、アーニャに思いっきり役立たずって言われていた(苦笑)
アーニャと逃げる時にデイスがメルに発情?して獣スタイルで事に及ぼうとしたのを見て、ぶち切れて山刀振り回して突進。
デイスと相討ちになるというのは、救いようがありません…本当にバカです。
ちなみにこのシーンは上半身だけのウォーレンも一緒に倒れていて、何というか…役に立たない男三人衆みたいなカットになっています(笑)

結局、壁画に描かれていた化け物が洞窟に潜んでいたらしく、メルが生贄を捧げることで復活。(カンガルーもウォーレンも「下半身」だけ捧げていたのは意味があるのかな?)
クリスはその化け物に孕まされて、自ら切腹して異形の子供を殺すというとんでもないシーンがありました。
巨大ヒルのような化け物は生き残ったアーニャにも同じことをしようとしましたが、こっちは失敗に終わり、返り討ち。
アーニャ強いぞ!
そして最後の最後で再びメルが洞窟を出たアーニャを襲いますが、もう怖いモノなしのアーニャが渾身の蹴りを放って、メルを吹き飛ばして木を利用してのサバ折り!!
トドメに顔面に岩を落として「ヤな女!」の〆セリフ!!

ここまで展開が早かった~!!

そのおかげで退屈することがなかったです。
それが一番良かったところか(笑)

結局、あの化け物は何なのかとか、どうして変貌するのかとか、その後水も食料もクルマもなしでそこからアーニャは帰れるのか?とかは分かりません(笑)

分からなくていい。

そう思えるB級ホラーでした。
普通に楽しむには十分でしょ?(←私の場合は夢にまで出てくるという欲しくないオマケも付きました…)


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ソイレント・グリーン

ソイレント・グリーン SOYLENT GREEN

ソイレント・グリーン [DVD]ソイレント・グリーン [DVD]
(2003/08/08)
チャールトン・ヘストン、エドワード・G・ロビンソン 他

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製作年:1973年/製作国:アメリカ/上映時間:97分/監督:リチャード・フライシャー

<STORY>
ハリイ・ハリスンの小説「人間がいっぱい」をベースにした人口増加により、格差社会が拡大した地球の未来を描いたSF映画。

2022年。
人口増加により、食糧や水などの資源が枯渇化し、深刻な社会問題になっていた。限りある資源は一部の特権階級に支配され、貧困にあえぐ一般市民はわずかな配給に頼るしかない。また夜間は外出が禁止されるために住むところがない人々は辛うじて建物の階段や教会などにその身を寄せていた。
そんな中、ある高層マンションで一人の富豪が殺される。
事件を担当したソーン刑事は同居人のソル老人の協力を得て、捜査を開始するが何者かに尾行される。そしていよいよ核心に迫ろうとした時、一方的に事件の終結を告げられた。

納得がいかないソーン刑事は突っぱねるが、同時に任務中に何者かに狙撃される。そしてソル老人はついに事件の真相を知ることとなり、絶望のあまり自ら安楽死を求めた。
死の間際、ソル老人から驚くべき内容を告げられたソーン刑事は、証拠を掴むべくある場所へと向かった。



<感想> ネタバレあり
古い映画です。
内容も非常に分かりやすく、上記のあらすじで真相が分かってしまう人もいるくらい、今では何というか…珍しくない話でしょう。
しかし、逆に言うと「フィクション?フィクション……なんだよねぇ…?」と実に後味の悪さを感じる作品でもあります。
すでに地球人口は70億を超えています。これは笑えない内容なのですよ。

日本は食糧自給率が40%を切るという、自滅コースまっしぐらの国です。先進国の中でダントツぶっちぎりTOPですよ…2位のイギリスですら70%なので、ありえない数字なんです。そのイギリスが「これはいかん!!」と焦って自給率アップを図っているのに、日本は全く動きがないですよね……政府の鈍感さが怖いです。

そして「水」ですが、日本は非常に「水」には恵まれています。恵まれ過ぎてその重要さが分かってないのが非常にまずいことになっています。
すでに水の枯渇が深刻化している中国が、日本の水源を買い占めているのですよ……事の重大さを分かってないので簡単に売ってしまっているのが現状です。
このままいくと、目の前に水源があるにも関わらず、咽喉の渇きに苦しみながら他国に輸出されるのを見ることになりそうです。

そんな現実を知っていると、この作品は本当に怖い。
この作品を見る気になったのは、映画感想ブログに紹介されていたのを読んで興味を覚えたんですね。まぁ、ネタバレしていたのですが…見たくなったんですよ。
見て良かったですよ。文字だけではこの痛烈な皮肉は分からないです。

水と食料がすでに超希少価値なので、主人公であるソーン刑事と同居人であるソル老人が本当に美味しそうに野菜や肉を食べるシーンが全てを物語っています。
(刑事である特権を利用して、現場から酒や食料・備品などを堂々と持ち帰るところが凄いですね。)
またここまで人口過多になってしまうと「人権」なんて無くなります。
ソーン刑事の同居人であるソル老人は「本」と呼ばれます。
その「知識」を文字通り買われているんですね。
見た目の美しい、若い女性は「家具」として契約して、「建物用」と「個人用」など分類されます。
気に入らなければ「交換」できるんですよ…。

ソーン刑事はソル老人を「モノ」ではなく、ちゃんと「同居人」として認めているので、ごく普通の会話がありますし、一緒に「生活している」なぁと感じるので、職場で「もう年なんだから新しいものに交換しろ」と上司が言った時に、初めてソル老人の立場が分かります。
父親と息子みたいな関係に見えるので、別れのシーンは切なかったですね。「愛してる」ってお互いに言うところが何とも。

ここからネタバレ!

















もうここまで書けば、何が真相なのか分かりますね。映画も全く予備知識なくても、分かります。
タイトルの「ソイレント・グリーン」が作中で提供される合成高栄養食品だと出た時点で分かっちゃう人もいるかな…。
実際のところ普通の野菜や果物、肉が特権階級の人間ですら、スーパーマーケットで自由に選んで買える状況でもないんですよ。
そこまで描けば、自ずとこの人口を養う「合成食品」の原材料は?ってなるでしょう。

いま、この地球上で最も多く、確保が難しくないモノは何?

答えはそう、人間です。


一応、作中では海中プランクトンから合成されたと謳っていますが、ソル老人たちが殺人現場で手に入れた「資料」を参考にして討論した結果、数年前にすでに海は死に、そこにいる生物はプランクトンも含めて絶滅してしまったと分かったわけです。
そのため、原料が海中プランクトンでなければ何なのか?
もう地球上には代わりになる生物がいない以上、消去法で「人間」だと結論が出たのですね。
ソル老人はそれに絶望して、「ホーム」と呼ばれる安楽死を提供する施設に行くわけです。
人口増加を少しでも抑えるために建設された場所ですが、そこで「死」を受け入れる代わりにかつての美しい自然を映像で見ながら、好きな音楽を聴きながら、最期を迎えることができるのです……この施設もマジで導入されるような気がする。(いや、死にたいけれど自殺できないから人を殺して死刑になるなんてバカはここに行けばいいんだから…)

いやいやいや、ここが要は「ソイレント・グリーン製造工場」と直結していたんですねぇ。

元々、特権階級の人間ですら死んだら身内が望まない限り、あるいは身寄りがない場合は葬式も省略して、ゴミ処理場に死体が運ばれるいうシーンがあったので、完全にこのルートは出来上がってますね。
古い映画なので、工場内も至ってシンプルでどこにでもありそうな昔の製造工場ですが、それがかえってリアルに感じられました。
特別なことじゃないんだよ…って。

アクションシーンもほぼないです。
銃撃戦が少しある程度ですが、あっさりしていて、ラストも臨場感が欠けますが、内容があまりにも現在の私たちの生活ぶりにリンクしているので痛烈な作品になっています。

映画のオープニングで古き良き時代から産業発展、高度経済成長期を経て、自然破壊や大量の廃棄物、人口過密の証拠写真をスライドのごとく次から次に映す演出がいいですね。
ありきたり過ぎるネタだと思うかもしれませんが、それが逆に怖いじゃないですか。

つまり「人間が人間を飼育して、食糧にする」ことがありきたり…なんですから。

これ、今でも十分におススメできる作品ですよ。



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プロフィール

こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

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