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ウィッカーマン

ウィッカーマン The Wicker Man

ウィッカーマン [DVD]ウィッカーマン [DVD]
(2012/12/05)
エドワード・ウッドワード、クリストファー・リー 他

商品詳細を見る


製作年:1973年/製作国:イギリス/上映時間:100分/監督:ロビン・ハーディー

そこに<神>はいますか?

<STORY>
スコットランド・ハイランド地方の警察に勤めるハウイー巡査は、一通の匿名手紙を受け取りサマーアイル島に向かった。手紙の内容は島でローワンという一人の少女が行方不明となり、その捜索を依頼するものだった。
島はサマーアイル卿が領主となり、古くから伝わる宗教を信仰していた。
ハウイー巡査は非常に厳格なキリスト教徒であり、島のあちこちで見られるその原始的な宗教儀式や風習に驚きと嫌悪を隠せない。
また、島民はローワンという少女を「知らない」あるいは「死んだ」などと不明瞭な応答を繰り返す。
やがて、ハウイー巡査は島を支配している宗教が「生贄」の儀式をするものだと知り愕然とする…。


<感想> ネタバレあり
本作は2006年にニコラス・ケイジ主演でリメイクされたもののオリジナルになります。お気に入りの感想ブログにて知りましたが、ネタバレしていても見たかった一作です。
リメイク版よりも淡々とした不気味さがいいと評されていたので、まずはオリジナルから鑑賞しました。

タイトルの「ウィッカーマン」とはDVDパッケージにもなっている柳の枝で編み込まれた巨大な人型の檻の名称でドルイド教が生贄を閉じ込めて燃やしたものだそうです。

Wikiで調べるとこの作品はずいぶんと紆余曲折した経緯があるようで、実際は本土での捜査シーンもあったようですが、そのシーンはカットされて、その後も完全なフィルム(120分)は紛失してしまい、99分版が最終的に落ち着いた作品のようです。
本土に戻らなくても、話は繋がっているからいいかな?

飛行艇で単身、サマーアイル島に捜査に来たハウイー巡査は、純粋で厳格なキリスト教徒でした。
しかし、島では神父は立ち去り、教会は荒れ放題。島民が信仰しているのは、原始的な自然を崇拝する宗教なので、生殖と豊穣は切っても切り離せない教義のため、結婚するまで処女・童貞を尊ぶキリスト教とは相容れません。自然崇拝の場合、男性器をシンボルとするのは自然な流れですが、それを子供が学校で学んでいるのを目の当たりににしたら、そのショックは大きいでしょう。
ハウイー巡査、マジで怒ります(苦笑)

でもね、「キリスト教を信仰しなければいけない」っていう法律はもうないよね?

スコットランドって確かにイギリス領だけど、イギリスの国教はキリスト教(カトリック教)だけど、そこに住む人は絶対にキリスト教でなければいけないってわけじゃないよね?

およそ宗教に関しては恐ろしく自由気ままな日本人である私にとって、非常に分かりにくいハウイー巡査の怒りや嫌悪感です。
まぁ、フリーセックスまでいっちゃうと「遠慮します」と言いたいですが、島の教会が荒れ果ててしまったのは、神父もいなければ信者もいないから当然なんですよね。
それを怒っても仕方のないことじゃないのかな~と(笑)

学校で宗教を教えるとはちょっと分かりません。
日本では知識・文化として触る程度なので、授業の一環としてはありませんね。ただ、体育のときに剣道や柔道になると「神前の礼」などがありますので、ここで「宗教的儀式」が出てきます。
キリスト教の生徒がこれを拒否するため、体育の単位が取れないという事態が起きて問題になったことありましたね。ちなみに私の同級生の中に、小学校行事である「七夕祭り」を欠席した子がいます。理由は後で知ったんですけどね。

行方不明になった少女は島の「五月祭」(豊穣を祈る祭り)の主役で、その年は不作であったことが分かります。不作になった場合は、神への生贄は農作物や家畜だけでなく、人間を捧げるというのが…まぁ、自然な流れなのか。
日本でも「人柱」ってありますからねぇ。
思い起こすと、不浄や穢れを払うために「追儺の鬼(ついなのおに)」という、罪人などにすべてを背負ってもらい、崖から突き落とすなんていう儀式もあったなぁ。古代ギリシアでもこんな儀式あったそうで。

「生贄」の発想は古今東西、人間の行う儀式としてごく普通にあるので、要は人間の考えることって変わらないって証拠ですね。

ここからネタバレ!!!



















「生贄」の文字が出た時点で、ハウイー巡査の運命はすぐに予想できるものですが、何と言っても時代が20世紀であること、そしてハウイー巡査は罪人でも旅人でもなく、警察官なんですよね。
それなのに、むしろそれこそが「生贄として最適な人物」として誘き寄せるって……。
領主であるサマーアイル卿(クリストファー・リー様w若いぞ!)は祖父の時代にこの島を買い取って開発したと言いますが、この人だって若いときは本土でお勉強したはず…。
それなのに率先して島の宗教儀式を推し進めるのが、何とも不可解。

農作物の不作(作中ではそれよりひどい凶作だとか)は土地と気候が原因なのに、神の怒りだと信じて人間を生贄にするという発想が怖い。
誰一人それを疑わず、たった一人の異教徒(ここではキリスト教徒であるハウイー巡査)を島民全員ではめて、生贄にするんですよ。
追い詰められたハウイー巡査が「これで豊作にならなかったら、次はお前(サマーアイル卿)が生贄になるんだぞ!」と言ったのが印象的でした。

本当にそうなったら、島民はどうするんだろう?
信じて疑わない信仰。
最大の供物として「人間」を捧げてもダメだったら?
それを指導した責任者がその責任を取るために次の犠牲になるのが自然な流れなんですよね…。

島民はともかく、島の歴史を知るサマーアイル卿は不作の原因を知っている。
かつて農作物の育たない貧しい島だったのを買い取った彼の祖父は「耐寒性」の品種改良をして、農作物を島に根付かせた。それを島民は「神の恵み」として受け取って、キリスト教ではなく、古い信仰を選んだそうなので。
島民を味方につける目的で、土着のその信仰を利用したため、今さら引くに引けなくなったのが、サマーアイル卿の真相かなぁ。

パッケージにあるあの「ウィッカーマン」に鶏など家畜と一緒に閉じ込められたハウイー巡査は、生きながら焼かれるという最悪の結末を迎えるのでありました…。
サマーアイル卿の「殉教者として認めよう」「聖者と並ぶ」なんていう皮肉があるように、キリスト教徒は火あぶりにあった聖者多いですよね。
死に直面したハウイー巡査が祈りの言葉を必死で唱える姿と、燃え盛るウィッカーマンを見ながら歌を歌う島民の対比がいいです。

沈む夕日と崩れ落ちるウィッカーマン。

漂う静かな狂気と「信仰」という名に罪悪感を包み隠したところが後味を悪くします。
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プロフィール

こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

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