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月の物語

月の物語 (広済堂文庫―異形コレクション)月の物語 (広済堂文庫―異形コレクション)
(1998/12)
井上 雅彦

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ある時は蒼く、またある時は紅く、
常に姿を変えながら、潮の満ち引きから、
妖精の飛翔まで、
ゆるぎない影響を与えてきた魅惑の衛星。



異形コレクションシリーズ第8弾。
ホラーにとって月はなくてはならないモチーフです。
夜の支配者。
怪物たちの憩いの光。
どんなに明るくても熱はなく、照らし出しても昼とは表情の違う世界を見せてくれる。

異形を愛するいろいろな作家たちが、様々な「月」を描き、なかなか秀逸な作品が揃っています。

個人的に心に残った作品
「月見れば―」 草上 仁…「丸いもの」を見ることを極端に恐れる彼。それを不思議に思う彼女。
その理由はベタな展開ではなく、意外に満ちたものでした。いわゆる「恐怖症」の類だと勘違いしてはいけません。そして、それを克服させようと画策することは…ある意味、迷惑行為になるのでやめましょう(苦笑)

「Killing MOON」ヒロモト森一…マンガ作品です。「月」とくれば王道の「人狼」なのですが、この作品に登場するのは少女の人狼です。
設定が少し変わっていて面白かったです。

「月の上の小さな魔女」青山智樹…近未来、人類が月に移住している話です。当然、月にうさぎもいなければ、かぐや姫もいない。伝説は失われ、現実だけが横たわっている月なのですが、ほんの少しだけまだ残っていたファンタジー…オチの一文に苦笑しました。

「シズカの海」北野勇作…人類が初めて月面に着陸した日。これは後々にいろいろと検証されたり、映画になったりする一大イベントでした。
この作品でもそれが扱われているのですが、直接名称は出てきませんが、非常に有名なある作品のオマージュになっていたところがびっくりしました。


ホラーの宝庫ではあっても、やはり「月」は美しいと個人的には思います。
異形コレクションの常連である菊池秀行氏が「エイリアンシリーズ」でこの月をとんでもないものに設定してくれた作品が記憶に残ってますね。
常に「女性」に例えられる月ですが、日本古来の神道で月の神の名は「月読」で男神なんですよね。太陽神「天照」の弟という立場です。
西洋と逆転してるのが面白いな~と思いました。
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チャイルド

チャイルド―異形コレクション〈7〉 (広済堂文庫―異形コレクション)

チャイルド―異形コレクション〈7〉 (広済堂文庫―異形コレクション)

著作者:

出版社:廣済堂出版

価 格:800 円

異形コレクション第7弾です。
テーマはタイトルのまま「子供」です。
「子供」とは「無邪気」「無垢」であると表現されますが、それゆえに残酷なことも平気でやってしまうのが「子供」です。
「かわいい」「天使のよう」であると同時に「憎たらしい」「小悪魔」でもあります。
大人とは違う子供ならではの恐怖。
なかなか手ごわいモンスターたちだと思います。

個人的に好きな作品
「帰ってくる子」 萩尾望都…ご存知の方も多いでしょう。大御所の女性漫画家です。
もちろんこの作品も書き下ろしの漫画ですが、やっぱり素晴らしいです。ネタとしてはありがちな「死んでしまった子供が霊となって家に帰ってきた。以前と同じように母親と兄は子供と暮らすが、兄は自分のせいで弟が死んだと思い、情緒不安定である」
漫画ならではの表現があるので、最後の展開にはちょっと驚きました。

「夢の果実」 高瀬美恵…日本昔話風なファンタジーなのですが、「本当は怖いグリム童話」的な内容です。淡々と、淡々と進む物語におどろおどろしさがないのですが、よくよく考えればとんでもない話です。もの悲しさが余韻として残ります。

「インナー・チャイルド」 岬 兄悟…中年サラリーマンの心の中で、徐々に育っていく「子供の部分」が最後の最後でそうなるか!と驚きました。

「幼虫」 竹河 聖…「妊娠・出産」とは女性が全く別の命をこの世に生み出す行為。男性は出来ない行為なので、そのためか「妊娠・出産」できない女性は人間として認められないような差別がそこはかとなく世間には漂っています。また「妊娠・出産」を理由に男女の関係はいろいろとこじれることもありますが…本作品はそれに関するえぐいところを見事に書いています。

そもそも「子供」とはどこまでのことを言うのでしょうか。
法律では「20歳未満」など年齢で区切りを付けていますが、それは社会構造に組み込まれている制度であって、実際の線引きではありません。

果たして子供と大人の境界線はどこなのでしょうか。

ちょっと考えると、迷宮に踏み入るような感覚に襲われます(苦笑)

屍者の行進

屍者の行進―異形コレクション〈6〉 (広済堂文庫)

屍者の行進―異形コレクション〈6〉 (広済堂文庫)

著作者:

出版社:廣済堂出版

価 格:800 円

異形コレクション第6弾です。
私のとってこの本は非常に感慨深い一冊となっています。なぜなら、この本が私を異形コレクションシリーズにどっぷりとはまらせてくれた一冊なのです。

テーマは「屍」…タイトルが「死者」ではなく、「屍者」となっているのがポイントです。つまりこの本では「霊」ではなく「歩く死体」「生ける屍」がテーマになっているのです。
「生ける屍=ゾンビ」は定番ですが、さすがに一癖も二癖もある作家たちが集う狂宴なだけあって、その定番も色とりどりで面白いのです。
この一冊に出会わなければ、私の本棚の一角が黒で塗りつぶされることはなかったでしょう(…異形コレクションは黒い背表紙に黄色でタイトルが書かれています)

個人的に好きな作品

「三次会まで」中井 紀夫…怪談話につきものの、同窓会での再会が舞台です。
いい加減大人になって、和気あいあいで集った同級生たち。かつての自分を振り返り、あれこれ思い出話に花が咲きますが……いじめた方は子供だったと笑い話にできますが、いじめられた方は絶対に笑い話にはできない過去だということを心に留めましょう。

「ジャンク」小林 泰三…一見西部劇風な作品ですが、素晴らしいまでに屍者の世界になっています。
読んでいてこんな表現があるんだと本気で感心しました。この世界観をこの短編に使ってしまうのがもったいないくらいです。それこそハリウッドなら超大作に仕立て上げるかと(笑)

「地獄の釜開き」友成 純一…有名な「ゾンビ」という映画で「地獄は満杯なのだ」というセリフがあるそうです。
この作品は「天国も地獄も満杯で、これ以上死者を受け入れることができない」という何ともすごい設定です。もしそうなったら、どうなるか。誰も考えつかない世の中になるのですよ…不老不死に憧れる人間はいるでしょう。しかし、この作品を読むとそれはどうかと本気で悩むことになります。

「死にマル」岡本 賢一…上の作品に世界観が少し近いです。病気やけがをしてもそう簡単には死なないようになる薬が発明されて、めでたしめでたし…とはいかないのが世の中で。
人間の人口増加は止まることを知らず、結果、人口が増えすぎないように「強制的に」死を与えなければいけないとしたら?これまた短編で消化するには惜しい設定です。

短編の持つ切れ味やオチが際立った一冊です。
テーマがテーマだけあって、作品がファンタジーやSF要素よりもホラー色が強いので、ホラー好きには非常に楽しめるかと思います。

水妖

水妖―異形コレクション〈5〉 (広済堂文庫)

水妖―異形コレクション〈5〉 (広済堂文庫)

著作者:

出版社:廣済堂出版

価 格:800 円


異形コレクションの第五弾は「水妖」です。
テーマは「水に関連する様々な異形たち」なのですが、淡水、海水の他にも河川や雨、溜め水、さらには体内に含まれる水分などなど、結構ありますね。
また何も「水」そのものでなく「流れる何か」でも良いわけで…拡大解釈をしていくとなかなか面白いテーマです。
生命は水の中から生まれた、と考えるとそこからも。

個人的に真っ先に思いつくのが「人魚姫」です。
子供心にもあのラストは理不尽過ぎて悲しかったです。
しかし、大人になって考えると「決して越えられない壁」が人魚姫と王子の間に見えます(苦笑)←身分制度を考えると正妃になるのは不可能。王子はきっと人魚姫を側室ないし愛妾とするつもりだったんだろうなぁ。
おとなのための残酷童話に至ってはすごいラスト持ってきたし(苦笑)

例によってツボに入った作品

「貯水槽」 村田 基…低体温症を考えると絶対にありえないのだけど、何とも言えない奇妙な現実味があります(苦笑)
貯水槽に落ちた少女とそれを発見した男。ラストを読んだときに、昔、ハロウィンというマンガ雑誌を購入していたのですが、そこで見た人魚を買う男の物語を思い出しました。今作品はあれよりもブラックでしたが。

「乾き」 中原 涼…川で溺死したはずの妻が家に帰ってくる。ものすごい定番な話だけれど、タイトルの「乾き」が被さってくるあたりが怪談の様相を醸し出して良かった。

「Mess」 ヒロモト森一…小説ではなくマンガ作品。「人魚の肉を食べると不老長寿が得られる」という昔からの言い伝えを描いているけれど、少女の人魚を襲う人間が一番怖い。

生物は水がないと生きてはいけない。
誰もが知っていることだろうけど、なかなかその恩恵を実感していないのが日本人。
日本は島国で火山列島でもあるせいか、地下水など水源が本当に豊富なので、全人口分の必要量をはるかに上回る水源大国でもあるんですね。
ところが、安全な飲料としての水を確保できていない国は多いんです。
海外旅行に行く際に気を付けるようにと必ず言われる「生水を飲むな」の理由がこれです。水道の蛇口からでた水をそのまま飲めるのは水源のしっかりした国だけで、日本やノルウェーなど限られた国だけの常識です。

お隣の中国なんて、黄河・揚子江といった大河があるにも関わらず、水のくみ上げの激しさから河口まで水が持たない。アフリカ大陸にある世界最長のナイル川も河口までたどり着く前に水がなくなってしまいます。
アメリカでもミシシッピ川でメキシコと揉める原因になったのもこれです。上流であるアメリカ側が大量に水をくみ上げてしまうために、下流のメキシコまで水が持たないからです。
そのため、アメリカはメキシコに脱塩水処理場を提供する約束をしたようです。

水は飲料だけではなく、工業にも農業にも必要なので本来は大事に扱わなければいけない。
それなのに、日本は不自由を感じたことがないせいか、中国などに貴重な水源の権利を売却してしまっています。目先の欲につられて将来のことを考えてないんですよね。

近い将来、この「水」を得るために戦争が起きるのではないかと危惧されるほど、世界規模で水不足が懸念されているのですよ。

そうなったとき、日本は自国の土地にある水源でありながら、その恩恵を預かれない立場に陥るかもしれませんね。
…こっちの方が怖いな。

悪魔の発明

異形コレクションシリーズ第四弾。

テーマは「狂気を誘う怪奇実験室」「マッドサイエンティスト」ですね。
焦点はどこに置いてもいいでしょう。
「実験そのもの」でも「結果」でも「過程」でも「科学者・発明者」でも。

個人的に好きな作品
「レタッチ」 我孫子武丸…これは素晴らしい発明品です(笑)ただし、夢から覚めてしまった場合の副作用は計り知れないですけどね。
欲しい反面、これに頼ってしまったら絶対に自滅するのが目に見えています。
でも時代背景と環境から考えると、この発明品は必需品なのだろうな、と思いました。

「雪鬼」 霧島ケイ…あえて「悪魔の発明」でなくてもいいと思いました。
要は生み出されたモノと過程が「科学的ではない」のです。純和風怪談にあたりますが、終わり方がまた怪談らしくていいかもしれません(苦笑)すっきりしない、ダークエンド。

「スウェット・ルーム」 安土萌…この方は切れ味のいいショートショートで異形コレクションの常連さんです。タイトルの「スウエット・ルーム」が一体何なのかが分かっただけでも嫌なのに、最後のオチがまた怖い。

「断頭台?」 菊池秀行…魔界都市シリーズ・吸血鬼ハンターシリーズと有名作品を多く出している作者ですが、短編もなかなか面白いです。この「?」がついている理由が作中で明らかになりますが、その理由に一瞬笑ってしまい…そしてその笑いが凍りつく。
よくよく考えてみれば、人間は同胞を殺すための道具や方法を本当によく考えますよね。「死刑」「拷問」関係の本を読むと本当にそう思います。「自殺」もどうしてこんな死に方選んだの?と呆れるものもあります。 あ、なぜそんな本を読むんだ?というツッコミはなしでお願いします(笑)

「悪魔の発明」…そう言われるとつい思ってしまうのが「原子力」です。
原子爆弾が発明され、実用化されたとき、これに携わった科学者は本当に「正義」だと信じて疑わなかったそうですね。
ただ、実際に使用されてその結果を目の当たりにしたとき、彼らの中には「悪魔の所業」と後悔した人もいたとか。
未知のエネルギーであったがゆえに、科学者の想像を上回る破壊力だったせいなのか、それともこの爆弾によって一瞬で奪われた多くの命や未来を思ってのことなのか。

ダイナマイトを発明したノーベル博士も、よもや自分の発明品が積極的に軍事利用されて多くの死者を生産する道具にされるとは思っていなかったといいますからね。

原子爆弾も原子力発電所も結局は同じなんですよね。
脱原発に向かって今は世論が傾いていますが、電力を過剰に使用する現代社会では、それなりの覚悟が必要ですね。
ただ「反対」と叫べば済む問題ではなく、電力不足も東電や政府の脅しだと決めつけていますが、まぁ、半分は事実なのでしょうが、現実問題、この電力不足は深刻です。
脱原発は時間をかけて、費用をかけて、進める必要があるはずです。感情的になったらダメですよ。

あえて言うなら…原子力発電が「絶対安全」と説明された時点で反対しなきゃいけなかったんですよ。事故が起きたらどうなるかと問えば「事故は絶対に起きない」なんて返されたらそれこそ反対する理由じゃないですか。
ちなみに私はたとえ事故が100%起きないとしても、放射性廃棄物の放射能を完全に除去して安全に処理する方法がない時点でアウトだと思います。
「漏れないように埋める」は安全かつ完璧な処理方法とは言わん。
プロフィール

こぶた貯金箱

Author:こぶた貯金箱
知識は浅く広くがモットーですが、好きなモノにはのめり込むタイプです。
ほとんどが図書館で出会いますが、過去に衝動的に手に入れた本なども紹介していきます。かなりマニアックなもののありますよ。

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